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午前7時30分。枕元でくり返し鳴り響くスマホアラームを止めて、うつ伏せのままメールの到着通知をぼんやりとタップする。
「………いや、は? うそ、だろ?」
配信プラットフォームから届いたメールの件名は『収益停止のお知らせ』。
噂には聞いたことがあったが、まさか自分がそうなるとは光輝は思いもよらなかった。思わず背筋が凍る。
(昨日の配信、なんかやばかった? まずいもん、映ってなかったよな? 他のアーカイブか?え、わかんねぇ……)
一気に目は覚めたが、頭は真っ白でなかなか考えが進まない。
大学へ通う以外の時間、ときには授業時間を削ってまでV活動に費やし育ててきたチャンネルだ。
(俺……もうVやれねーの……?)
スマホを持つ手が震え、もう一度寝たら夢だったというオチかもしれないと逃避したくなるけれど、そうも言ってはいられない。
(違う、アカ停止じゃないから、続けることはできる!)
以前見た、収益停止を食らったVtuberの動画内容を思い出す。とりあえず、手続きをする必要があったはずだ。
届いたメールを読み進めると、確かに申し立て手続きの内容が載っている。
光輝は一限目の講義よりも復活手続きを優先し、ベッドの上で慌てて申請作業を進めた。
「やべぇ……解除されなかったら、家賃払えねーじゃん。機材もカードで新調したばっかだし!」
ワンルームの防音賃貸物件は、実家から数駅離れた場所にあった。自分で家賃などを支払う約束で、わざわざひとり暮らしする許可を得ていた。
ピンチの状況なので、甘えて実家へ戻る選択肢もある。けれど、実家には防音室がないだけでなく、家族は光輝がVtuberであることを知らない。
「ここじゃねーと続けられねんだよぉ。くそっ、とりあえずバイト探すか?」
寝ぐせのついた頭をがしがしとかき、ベッドから立ち上がる。冷蔵庫へ行くと冷えたエナジードリンクを取り、パソコン前に座って電源を入れた。
(メンバーシップも停止になってるし、みんなには早めに知らせとかねーとな)
起き抜けの姿のまま、光輝は緊急の配信の連絡をしサムネイル作成を始めた。今日は大学へ行くことを諦め、ファンへの連絡と今後の対策、企画の練り直しに時間を割くことにした。
(アカウントはまだ生きてんだから、捨てることないよな。だいいち、捨てたくねーし!)
思い入れのある自作キャラを元に作ってもらった2Dアバター。好きなことをする光輝を気に入って見にきてくれ、応援までしてくれるファン。熱心にコメントやメールを頻繁にくれる人すらいる。
(あいつと生み出した大事なキャラだしな)
ファンを大切にしたい気持ちのほかにも、なくしたくない理由があった。
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