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「ちくしょー、簡単に解約とかいいやがって」
夕方帰宅し、パソコンでサムネイル制作しながら光輝はぼやく。
執司の家を出るときも、引っ越す日はいつにするかしつこく聞かれた。今すぐには決められないと言ったけれど、押し負けて明後日と言ってしまった。
「執司、大学生になってあんなキツイ性格になっちまった?それか高校のときから?中学入ってあんましゃべらないキャラになってた気もするけど」
作業画面を見ながら、幼い頃の執司を思い出していた。
小学生の頃はまだ、光輝の方が背が高く体つきもしっかりしていた。一方執司は父親を亡くし、母親は仕事に出ている時間が長くなって、不安定ぎみでうつむくことが多かった。
自分が一緒にいてやらないと、と光輝は学校に行っているあいだも、何かと執司を気にかけていた。
『一緒にいたら寂しくないだろ?それに俺だって楽しい!』そう言って、何度も励ましていた覚えがある。そうすると執司は、安心したような笑顔を光輝に向けてくれたのだ。
(あのときはかわいかったんだけどな? 成長してあんなにも変わっちまった?)
家族や古くからの友人にはいつも、『光輝はずっと変わらないね』といわれるので、執司の変化は羨ましくさえある。
「てかあいつ、彼女とかいねーの? 俺が住んだら呼べなくなるじゃん?」
2年になるまで大学ではよく一緒にいたけれど、彼女のいる様子はなかった。中学の頃はモテていたし、今はさらに大人っぽくなってきっと人気はあるはずだ。
「バイトが忙しくて付き合えないとかか?」
光輝は自分に彼女ができないことを、V活動に熱中しているからと棚にあげていて、執司にも忙しさを当てはめてみる。
「なわけねーか。そんときは、俺が外出るくらいするべきだよな」
そういえば、大学で一緒にいることは増えても深い話までは聞いたことがなかった。光輝はそれだけ自分に精一杯で、執司や周りのことを気にしていなかった。
「逆に執司に彼女がいた方が好都合だな。俺ばっか借りができるのもいやだし」
執司の彼女が家へ来るときに外出するくらい、大したことはない。ネットカフェで過ごせば足りる。
「代わりにしてやれることって……」
家賃なしで住まわせてもらっても、差し出せるものが何もない。追々考えることにして、できあがったサムネイルを保存する。
「よし、今日の配信だ」
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