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 光輝との夕食を終えた執司は、2階の部屋からノートパソコンを1階のリビングへ運んだ。  日付の変わる頃まで黙々と作業をし続けていると、2階から光輝が降りてきて、声をかけてくる。 「邪魔してわりぃ。俺、もう寝るから。おやすみ」  冷蔵庫からペットボトル茶を取り出し、長時間話して乾いたであろう喉をうるおすと、静かに2階へ帰っていった。 「おやすみ」  リビングを出ていく姿を見送り、執司は最小化していたパソコン画面のウインドウをもとに戻す。  2階へ耳をそばだてながら、オレンジと黄色が基調の、かわいらしくもかっこいい猫耳ヒーローのチャンネルが現れる。 (リアタイ視聴できてよかった。しかも本人がいるすぐそばで)  執司はしばらくチャンネルに動画一覧を眺め、満足げにうなずく。  少しすると2階から物音が聞こえなくなった。きっと光輝はベッドに入ったのだろう。寝つきは昔からよかったので、もうすぐ眠るはずだ。  念のためもう15分ほど作業を続けてから、執司はスマホを持って立ち上がる。  リビングを出て足音と気配を消して、2階へあがっていった。  手をかけたのは、光輝が眠る元自室のドアノブ。  断りなく開けると、常夜灯だけをともした薄暗い室内に、ベッドの上であおむけになり気持ちよさそうに寝息を立てる光輝がいた。 (配信で疲れたか、一生懸命しゃべってたもんな)  昨日はごく短いアーカイブしか上がっておらず、バイトから帰ってきて光輝の部屋をのぞいたところ、パソコンの隣には持ち出された教科書があった。  レポート作成に時間を割いた分配信時間が短くなったので、今日取り返そうと意気込んだのだろうか。 (今日の配信も、すごくよかった)  パシャ  光輝の顔へ向けて、撮影ボタンをタップした。夜景モードにこれほど感謝したことはない。  シャッター音がしても目を覚まさないことは、光輝がこの部屋へ住むようになってから実証ずみだ。もう2、3枚撮影して部屋を出る。  再び静かに階段をおり、リビングのパソコンの前へ戻る。  スマホの撮影データはストレージに共有保存され、パソコンからも見られるようになっている。 「今日の写真、今までで一番いいかもしれない」  昨夜と同じことをつぶやきながら、光輝の寝顔データをパソコンへダウンロードして保存していく。ベストな1枚をプリントアウトしてファイリングし、眺めることが執司の癒しだ。 「やっぱり光輝、俺の部屋に入ったな。これだけはバイト先まで持っていってよかった」  今夜撮影したばかりの光輝の無防備な寝顔をパソコン画面に開くと、執司は主張し出した熱を鎮めるべくこっそりと慰め始めた。

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