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光輝のとは別の高校へ進学してからも、中学の頃と同じく、執司は告白されることが多かった。  光輝以外に求められても全く惹かれることがなく、変わらず断ろうと思っていた。けれど一度だけ、付き合った相手がいた。  ショートカットで笑顔が少しだけ、光輝に似ている女子だった。 (代わりになってくれるかもしれない)  母親経由で光輝の進学先や交通経路も聞いてはいたけれど、どう頑張っても会うチャンスがない。おかげで高校へ入学すると光輝の顔を見る機会はいっさい断たれてしまった。 (大学で、光輝といるため)  そのための耐えの3年間だと思っていたけれど、目の前にぶらさがった偽物の人参につい、手を伸ばしてしまった。 (やっぱり違う、光輝じゃない)  付き合い始めてすぐ、執司はその女子は光輝と全く別人であることを思い知らされる。 (光輝は俺に物事を押し付けないし、一緒に笑って楽しんで、励ましてくれる)  クラスメイトなど世間の恋愛に全く興味のなかった執司は、恋人関係に入ると変化していく相手の態度を知らなかった。  次第に詰められていく距離、隙あらば触れてこようとする行動に、嫌気がさす。 (もしこれが本物の光輝なら)  帰宅後、ひとりになったとき改めて彼女がとった行動を光輝に置き換えて妄想してみる。  床へ座ってベッドへ背中を預けていると、ぞくりと背筋にしびれが走る。  執司の腕に腕を絡め、体を密着させてくる光輝。彼の匂いがふわりと届いてしまうほどの距離だ。 (今の光輝はどんな匂いだろう)  不意に甘ったるいイチゴオレの風味を思い出す。 「ッ!」  一度だけ、間接的に光輝としたキスは、イチゴオレの味だった。  すると妄想の中の光輝は甘くてみずみずしい、かじりつきたいようなに匂いがし出す。 『執司!』  自分の名前を呼んで、無防備に肩へあごをのせて甘えてくる。彼女にとられた行動は次第に消え、執司好みの勝手な妄想が広がっていく。 『イチゴオレ、飲むか?はい、ひと口、……んっ』  手に持ったパックのイチゴオレを吸った光輝が、口移しで飲めと執司に迫ってくる。体を密着させて見上げ、唇を突き出している。 「光輝……」  おかげで光輝に対する劣情を意識してしまい、執司が今まで光輝を求めていた理由は、恋愛的なものだとはっきりわかってしまった。  気持ちがわかったところで光輝とは全くつながりがないし、急にこんなことを突き付けても、困らせるだけだ。  しかし理性ではわかっていても、欲を抑えきれそうにない。  それ以降、持て余した欲はあられもない光輝の妄想で、ひとりむなしく発散するしかなかった。

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