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 執司が淹れてくれたホットコーヒーを、ぐいとひと口飲み、また、ふたりの様子をうかがってみる。 (大学じゃあんな風に笑ってねーじゃん。家にいるときだって、1回も見たことねーよ)  小学生の頃なら、笑ってたけど、とヒーロー番組を見て笑う、かわいらしい執司を思い出す。 (もしかして、あいつら付き合っ……)  突然大きく頭を横へ振り、考えを打ち消した。 (なわけねーって! 執司はいつも、俺のために帰ってきてメシだって一緒に食ってるし、それに!)  自分が演じるミカン ねこまるというVTuberのファンでいてくれる。  すると、遠く離れた窓際から視線を送り続ける光輝へ向けて、執司がわずかに手をあげた。 (お、俺に?)  ガタンと音をさせて急いで立ち上がり、大きく手を振る。執司は視線を向けてるだけで、もう手を振り返してはくれなかった。  しょんぼりして立っていると近くの席の社会人女性に不審者を見る目を向けられてしまい、光輝はテーブルへ視線を落としおとなしく着席する。  ちら、とまたレジの方を見ると、執司は口元に手をあてて光輝の方を見ていた。  笑っているかどうかはわからない。けれど、くっついている小柄な男はニヤニヤと笑っていて胸糞が悪い。 (もー帰ろ、配信すっぞ)  残ったホットコーヒーを飲み干し、大きく息を吐くと席を立ちあがる。  スマホをポケットへねじ込んで、コーヒーショップの出口へ向かいながらダストボックスへカップを捨てた。視界に自然と執司が入る。  穏やかな笑顔をたたえ、レジで接客している。邪魔してはいけないと思いつつ、そっと手をあげてから店を出た。 (気づかねーか。あいつは見てたけど)  ドリンクを作っていた小柄の男子だけは、光輝の方を見ていたからだ。  店を出ると、来店したときとは違って空はどんよりと曇っていた。

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