25 / 41
5-1
昨夜は寝つきが悪かったにもかかわらず、光輝は早朝に目が覚めてしまった。
冬に向けて少しずつ日が短くなっていて、あたりはまだ暗い。
「あー……最悪だった……まじでやり直してー……」
ベッドで掛布団を体へ巻き付け、ごろごろと左右に転がる。
なかなか眠れなかったのは、配信の興奮のせいではない。
執司がバイト先で告白されており、付き合うかもしれないこと。それ以上に、執司に好きな人がいるということが、光輝がの心を揺らした。
(短時間クリアできるやつだったのに……集中できなさすぎ……)
気持ちを割り切れず、引きずったままゲーム配信を始めてしまったのがいけなかった。
謝って、配信を延期すればよかった。
(だと、執司に心配かけることにもなったし、配信したこと自体はよかったって、思っときたい)
割り切りつつ視聴者に対して心の中で謝り、次をもっと面白くしようと決める。
(で……俺だけど、俺じゃないんだよな)
執司の好きな人は、ミカン ねこまるだと言った。ネットの世界にいるだけの、光輝の分身のような存在だ。
邪魔したくないと言ったのは、ファンがVTuberに直接恋を伝えることがご法度という、マナーを理解しているからかもしれない。
「言ってくれて全然いーんだけどなぁ」
思わず気持ちが漏れてしまい、誰もいない静かな室内を見回す。
けれど、キャラクターは光輝そのものではない。執司が、特に小学生の頃の執司が喜んでくれそうなヒーロー像を元に設定を作ったので、気に入られるのは当たり前かもしれない。
当時の光輝は、あくまでかっこよく自分もなりたいヒーローを当時は考えていた。
しかし執司は恋愛対象にするならという意味で、憧れの少年ヒーロー像を描いていたのかもしれない。
(執司はゲイで、だから中学のとき女子からモテても付き合わなかったってこと?)
それなら、バイト先の男子から告白されて検討していることも、納得がいく。
光輝は自分の中で考えがまとまってくると、改めて執司のこれからの出方が気になってしまった。
「付き合うのかよ、あいつと……」
掛布団を頭までかぶり、小さくつぶやいていると、隣の部屋で扉の開く音がした。執司が階下へおりていく。
今日は二限からだと言っていたのに、やけに早起きだ。朝食や光輝の分の弁当を作ってくれるけれど、それにしても早い。
ともだちにシェアしよう!

