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(のど、乾いただけか?)  思っているうちに階段をのぼる足音がしてくる。考えたとおりだったと思い、光輝は壁の方へ向いて再び丸くなる。  すると、自室の扉が静かに開く音がした。 (執司だよな?何で俺の部屋に?)  ベッドへ向かってくる気配がし、すぐそこで止まった。用があるのならそのまま起こすだろう。けれど、声をかけてこない。  潜った掛布団の中から頭を出そうとすると、先にゆっくりとはがされる。  執司の意図がつかめず、目を閉じたまま顔だけ出して止まっていると、カシャ、とシャッター音がした。 「何してんの?」 「起きてたのか」  掛布団から出て、ベッドのすぐ脇で膝立ちしている執司の方を振り返る。  カーテンを引いたままの薄暗い部屋で、執司の顔は余計に表情がわからない。 「撮った? 何で?」 「昨日は俺の方が先に寝ついたから」  光輝には執司の答えの意味がよくわからない。 「寝るの遅かったし、光輝は体調大丈夫かと思って」  体調の心配と人の寝顔を無断で撮影することはつながらない気もしたけれど、心配されることは素直に嬉しい。 「わり、執司も寝るの遅くさせちまったよな、昨日は」  そういうと首を横に振り、まだベッドの脇で膝立ちをしている。 「朝食はまだできてないから、寝ててくれ」  光輝が再び横になることを促してくるので、従って仰向けになり布団をひっぱりあげた。  体調不良で看病されたときのことを思い出し、執司が抱きしめてくれた安心感がよみがえってくる。 「……なぁ……あいつと付き合うのか?」  心細くなってつい、言葉が口から出てしまった。勝手に写真を撮られたことはどうでもよかった。 「そうだな、そろそろ返事しようかと思う」  顔色ひとつ変えずに言うので、光輝は心配が膨らんでしまう。 「返事、どっち?」 「OKの方」  おとなしく横になっていたものの、急いで起きて執司に詰め寄る。さっきから、すっかり目は覚めていた。 「迷ってたんじゃねーの?」 「好きな人に似てるとこあるし、いいかと思って」  あの小柄な男子と自分、どこがどう似ているのか全く浮かばない。ねこまるにしても、見た目は全く違うのだ。 「全然似てねーじゃん、ねこまるとあいつ!」 「全部じゃない、一部似てる」 「けどそれじゃぁ、あいつにだって失礼だろ? 代わりになんてしねーで、好きなやつにちゃんと告白しろよ!」 「……」  執司が本気でVTuberに恋しているのなら、光輝も背中は押していない。けれど、執司が好きと言ったねこまるの中身は光輝で、光輝自身も執司のことを想っている。  実は自分でした、とDMで告白が届いたときに返信するのもアリなのでは、とずるいことも考えていた。 「俺だったらさぁ、ちゃんと告白するけどな。我慢して代わりでとかじゃなくて、本人と付き合いてーもん」  執司の手に持っていたスマホがカーペットへ落ちる音とともに、突然両肩を掴まれる。指先が食い込んでくるほど強い。

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