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光輝は体調を崩して以来、バイトの時間数を減らしつつ続けていたけれど、もうその必要はなくなった。再び配信に専念できる状況が戻ってきたからだ。
今日は執司がカフェバイトの日なので、あの小柄な男子にきっと告白の返事をするだろう。
どうなったかを改めて聞きたくはないので、ふたりでの夕食を避けたかった。
「はぁ、久しぶりだなコンビニ飯」
今日の配信準備を整えてから出かけたせいで、予定より遅くなってしまった。
執司の家へ住まわせてもらって初めて、光輝は手作りの食事を断った。顔をあわせては言いづらかったので、メールで伝えたけれど、ここまでしてくれているのにと、申しわけない気持ちも膨らむ。
(バイト中には話さねーだろうから、上がったあとか)
家へ向かってとぼとぼと歩きながら、日の暮れた空を見上げる。
光輝の食事のために、執司はいつも夕方頃家にいたのだろう。
もうすぐ光輝は執司の家を出ていくし、恋人でもないのに生活時間を縛ってはいけない気がした。
(このまま、何も言わずに帰るってのも……)
思ったけれど、さすがに失礼な気がしたし、ひとりでは引っ越しができない。結局何もできないままの自分に腹が立つ。
気持ちが下を向きかけると、執司がねこまるのファンだということを思い出すようにしている。
(高校のときからって……、活動始めたばかりのときからずっと応援してくれてた?)
ねこまるが光輝だと、執司は知っていた。その上で、推しているVだと言ってくれた。
もしかすると、コメントもしてくれていたのかもしれない。
常連名を思い浮かべ、どれが執司っぽいかを考えてみるけれど、見つからなかった。
会う機会のなくなった執司が見てくれたら、と思って始めた活動は、早々に目的が叶っていたのだ。
「ねこまるを好きって言ってくれるだけラッキーかぁ……」
続けることが困難になりそうだったとき、誰でもない執司が手を差し伸べてくれた。それで十分だ。
「今日は執司、帰ってくるの遅いよなー」
もう少しで家に着くところで、ひとりつぶやく。
公園の前を通ったけれど、もう遊んでいる子供はいない。路地を歩くと、たまに自転車に乗った人とすれ違うくらいだった。
「恋人同士になったんかなー」
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