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「光輝が好きなんだ」
「……執司……あの、実は……」
舞い上がってしまい、たどたどしく同じ気持ちだと言おうとしていると、執司にさえぎられた。
「活動に一生懸命なのは知ってる。邪魔はしない。だから付き合ってる事実だけくれないか?」
「は……はぁ?」
予想外の言葉に光輝は目を丸くして、眉間にシワを寄せる。
付き合うといえば、デートして手をつないだりキスしたり、それ以上のこともするだろう。なのに、執司はそれを求めてこないつもりだ。
「付き合ってる事実だけって何だよ」
「もし光輝がいいといってくれるなら、恋人になったって思えるだけで、俺は十分なんだ」
あまりに欲のない要求に、光輝は肩すかしをくらった気分だ。好きな人から告白されたのだけれど、全く嬉しくないし、わけがわからない。
邪魔をしない、ということは貫くつもりだろう。
「俺と、デートとかはしたくねーってことかよ」
「………したく、ない」
覚悟を決めたようなことを言ったくせに、執司は苦しそうだ。
「その沈黙はなんだよ、してーんじゃねーの?」
簡単に決断をひるがえして、そうだと言って欲しい。
(俺を独占したくねーのかよ、恋人ならデートとかもするんじゃねーのかよ!)
光輝に好きな人がいると勘づいたときの執司の態度は、独占欲丸出しだった。今更聞き分けのよいふりをしても遅い。
「うだうだ言ってんじゃねー! 俺だって執司が好きなんだよ! だから俺はお前と、デートしてーよ!」
叫んだあとで我に返り、あわてて辺りを見回す。脇を通り過ぎた自転車は、幸いイヤホンをしていて聞こえていなかったようだ。
「み、つき……」
しまった、と口に手をあてて執司へ視線を戻すと、目を丸くしていた。
「しゅ……」
呼びかけたとたん、手を引っ張られ執司の胸に頭を抱かれる。背中へ両腕を回されると、きつく抱きしめられた。
「光輝、光輝、好きだ」
耳元で言い続ける執司の声は熱がこもっていて、耳も頬もつられて熱い。執司も頑固に見えて、意外と自分と同じように流されやすいところがあるのかもしれない。
求められていることがダイレクトに伝わり、嬉しくなった光輝は応えるように執司の背に腕を回す。
「行くぞ」
少しだけ抱きあうと、家の方へ強引に連れて行かれた。拍子に、道路へせっかく買ったコンビニ弁当を落としてしまったけれど、戻らせてくれない。
「ま、てっ……て!執司!」
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