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『これなー、前にちゃんとやれなくて悔しかったやつ! ぜってー一瞬でクリアするからな!』
オレンジ色が基調のヒーロースーツを着た、猫耳のあるかわいらしい2Dアバターが、元気にノートパソコンの画面で動く。
週末、執司は元父親の書斎で幸せそうにほほえみながら、配信画面を眺める。
「光輝、今日もかっこいい」
光輝とふたりで生み出した、ふたりの子供といってもいい存在は、ミカン ねこまるという名前がついていた。
小学生の頃、父を亡くし寂しくてたまらなかったあのとき、光輝と過ごした時間の思い出だ。
すると、壁越しに光輝へ貸している執司の部屋から声が小さく響く。
『わーっ! ちょ、え、待てって、わー!』
週末、執司の家に光輝が泊まってもV活動ができるよう、ふたり暮らしのときのままにしている。
さすがにデスクトップパソコンの持ち運びは大変なので、執司は投げ銭の一環として用意させてもらっていた。
初めて泊まりに来た週末、光輝は驚いていた。
けれど、『ちゃんと返すからな』と言って、感謝してくれた。
(返さなくっていいのに。むしろ俺の方がたくさんもらってる)
配信画面を眺めつつコメントを投稿し、投げ銭もして光輝を応援する。
今では執司のハンドル名「ゾッラ」も、すっかり光輝のなじみになり、コメントするとしっかり返答してくれる。
(まだ俺だって、気づいてない。びっくりするかな)
今度は引き出しから、写真を収めたファイルを取り出す。本人に内緒で撮った、光輝の寝顔集である。
(光輝の寝顔、昔から好きだった。形に残すチャンスが来るなんて)
執司の家へ光輝が住んでいた間だけ叶った、寝顔写真たちを眺める。
熱で弱っていたときの、無防備な表情も収められたので、今度はセックスのあとの顔を撮りたいとまで思ってしまう。
(もちろん、どんな光輝だって大好きだ)
そんな光輝も自分を好きだと本人から聞き、執司はいまだに信じられない。けれど、それでは光輝を疑うことになるので、考えないようにしている。
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