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第7話
本を読み耽っていたら突然、部屋の電気が付いた。
「あれ?」
気が付いたら隣に泡沫が立っていた。
「読みづらくないのか」
呆れた声で、泡沫が澪を見下ろした。
「言われてみれば、暗かったな」
窓の外は、夕暮れの茜すら姿を隠して、群青が降り始めていた。
「随分と読み散らかしたな」
泡沫が部屋の中を眺めた。ベッドの上から床まで、読んだ本を山積みにしていた。前の巻に戻ったり、確認しながら読み進めていたから、いつの間にか散らかしていた。
「うわ、悪ぃ。読み終わったら片付けるな」
返事しながら、膝の上の本に目を落とす。文字を追いながら、床に置いたノートに走り書きをしていく。
澪の姿を眺めていた泡沫が息を吐いた。
「随分と熱心だ。もっと適当な男かと思っていた」
「それは心外だな。こう見えて、真面目で義理堅い男だよ」
泡沫の言葉は引っ掛かるが、今は文献から目を離したくない。
「飯を置いておく。適当に食え」
「はいよ。ありがとな」
そういえば、美味しそうな匂いがする。
扉を開けた泡沫が、立ち止まった気配がした。
「どの部屋も鍵はかかっていない。好きに読め。俺が寝ていても、構わないから」
「ん……あぁ、わかった」
顔を上げた時には、泡沫はいなかった。心なしか、気配が昨日より柔らかい気がした。
「今日は、唐揚げか」
テーブルの上で湯気を上げる食事が、やけに美味そうに見えた。
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