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第1話【コミカルver.】
「なぁ、遥斗」
「……ん」
「明日のテストの事なんやけど」
「って、なんだその関西弁。お前、いつから関西人になった」
「え、……いつからって。そんなん決まっとるやん! 推しが関西弁しゃべる人に変わったからや。なんや聞いとるうちに、うつってもうてん」
「……」
「妬いとんのか?」
「うざ」
俺の台詞に、幼なじみの洸太がにっと笑う。
コイツとは、いつも一緒に帰ってる筈なのに。久し振りに感じるのは何故だろう。
並んで歩くこの感じが、どこか遠い昔の出来事のようで。懐かしささえ感じてしまう。
「そういや、二人で帰るの久し振りやな!」
「はぁ? 昨日も一緒だっただろ」
「あー、そうやった! なんでやろ。懐かしいとか思ってもうたわ」
「……」
やっぱり、洸太もそう思ってたのか。
辺りは暗い田舎道。見渡す限り田んぼだらけ。灯りも所々しかなくて心許ないけど。コイツといると、不思議と安心する。
隣に目をやれば、こっちを見た洸太がにまっと笑う。
外灯の光より明るいヤツ。
「──ッ、!」
突然足に絡みつく、生温かなもの。
『……もど、れ……起きろ、俺……!』
微かに聞こえる、俺によく似た声。
まるで行くなと言わんばかりにグイグイと引っ張られ、バランスを崩して洸太の背中にしがみつく。
「わっ、」
驚いた洸太が、振り向いて俺を見たのがわかった。
ヴァァ──ッ
ドサッ、ゴロゴロゴロ……
二人で土手を転がり落ちた瞬間、勢いよく走り抜けていくダンプカー。
……ま、マジか。
てかなんで、こんな細い道にダンプカーが通るんだよ。
バクバクする心臓を必死に抑えていると、俺をクッション代わりにしてうつ伏せていた洸太が「いてて…」と頭を上げる。
「──うぉっ、入れ替わってる!!」
「んな訳あるか」
俺の声真似をしながら叫ぶ洸太に、つい要らぬ突っ込みをしてしまう。
「そんな事でいちいち入れ替わってたら、俺の魂、いまごろ遠い国に飛んでるわ」
「ハハ。それもそうやな」
俺の上で、洸太があっけらかんと笑う。
「おれかて、遥斗と入れ替わってもうたらいやや……」
まだその話題を引っ張り、なかなか退かない洸太にうんざりしていると、しょぼくれた子供のような表情に変わる。
「自分の顔とチュー、したないわ」
……は?
「お前のこと、むっちゃ好きやねん」
……は??
冗談じゃない。
いや、冗談なのか?
コイツの冗談が、どこまで本気なのかわからん。
『好きだ』──ふと、脳裏を過る洸太の真面目な声。
確か前にも、同じような事を言われた気が……
……って。
いやいやいや。そんな訳あるか。
雑念を振り切って我に返れば、潤んだ瞳を柔く閉じた顔が、視界いっぱいに迫る。
「──ちょっ、まてまてまて!」
むにゅっと突き出た洸太の唇を、手のひらで押し返して阻止する。
「ええやん。減るもんやないし」
「そういう問題じゃないっ!」
減るとか減らないとか、関係ねぇ。
いくら何でも、冗談が過ぎる!
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