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第18話 触れたくて、感じたい。

   路地裏で抱き締めあって。その後、何度も口唇を重ねた。    気持ち良すぎて何も考えられなくなって。俺の頭の中は犬神のことしかなくて。  「俺の家に戻って、続き、したい」とお願いされれば、自然と縦に頷いていた。 「歩いても帰れるけど、羊とずっとくっついていたい」 「っ、おれ、も」  俺の返事に犬神は大きく喉を鳴らして、熱い息を漏らす彼に心臓が締め付けられた。    ものの数分でやって来た呼びつけたタクシーに乗り込んでから、犬神の家までの3分ほどの間、車内ではぴっとりくっついて。  犬神の腕は俺の背中を伝って腰を()(かか)えていて。ずっと手を握られながら、指で手をなぞられて……もどかしくて、堪らなかった。  こんなに他人に " 早く触ってほしい " なんて感じたこと、今まで一度も、なかったのだ。  目的地である犬神のマンションの前にタクシーが到着してドアが開くと同時に「おつりはいらないんで、残りはチップにしてください」と硬貨での支払いの金額に紙幣を渡した犬神は、俺の手を取りタクシーから降りる。   「早く、触れたい。羊に」 「お、れも」 「ッ、走るよ」    ふたりして足早に移動する。エレベーターに入って待ってる間キスしたいな、なんて見つめていたら「そんな顔で見ないで……俺もしたいけど、しちゃうと止めらんなくなるから……部屋まで、待って」と言われて顔に熱が集まるのを感じた。  犬神の部屋に足早に向かう。到着して部屋のドアを彼が無造作にバタン、と音を立てて閉めると壁ドン状態で、玄関で靴も脱がず、熱の籠った瞳で切なげに犬神に見つめられた。  早く彼と触れ合いたくて、犬神の首元に腕を絡めて「……も、いい?」と触れ合うだけのキスをすると、腰を抱かれて、グ、と引き寄せられる。後頭部を固定されて、彼に激しく口唇を塞がれた。   「ん、っあ。いぬ、かみ、ん、きもち、ぃ」 「羊……っ!ん、すき、すきだ」 「キス、きもちぃ、もっと」 「……っは、もっと、ふたりで ── 気持ちいこと、しよ……?」  その犬神の提案に、同じ気持ちだった俺は考えるまもなくコクリと頷いていた。  俺の返答に、犬神の喉が大きく鳴って「移動、する。危ないから首、掴まって」と犬神に言われるがまま、首に腕を回すと余裕なく横抱きにされた。  目的の場所へ犬神の足が向かう。まるで、初めて俺のベッドで繋がったあの時の流れの様で。ドクドクと心臓の音が体中に響いていた。   " 犬神とそうなること " を期待している自分にどうしようもないな、と目の前の彼を見つめる。  自分の気持ちが、好きだからなのか。それとも、ただ単にもう一度、犬神と気持ちいいことがしたいだけなのか、よく分からなくて。  犬神の横顔をじっ、と見つめると俺の視線に気付いた彼が俺の顔を覗き込んだ。  興奮を隠せない、熱の籠った彼の瞳と目が合って。ゴキュ、と俺も喉を鳴らしていた。 「 ── 興奮、してる?嬉しい。俺も、同じ気持ち。約束通り、最後まではしない。でも、いっぱい羊のことは、気持ちよく、したい」 「っ、ん。俺も。お前のこと、気持ちよく、する」 「嬉しい。好きだ、お前が」 「っ……!」  横抱きにされたまま。ゆっくりと近付く彼の口唇を、俺は目を閉じて受け入れたのだった。

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