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第19話 彼の部屋のベッドの上で *

   いつの間にか寝室に到着していたようで、ゆっくりと俺の身体はベッドに降ろされた。  俺が「キス、したい」と強請ると犬神の口唇が、さっきとは裏腹に、壊れ物を触るかのようにゆっくりと柔らかく落ちる。  何度もお互いの口唇を求めて、荒い息と甘い声が部屋中に漏れる。犬神の肌と俺の肌を触れ合わせたくて自ら服を脱ごうとすると、その手を犬神に静止される。 「服、俺が脱がせたいから、脱がないで……?」  縋るような表情でお願いされて、胸がギュッとなった。  百貨店で犬神からプレゼントされていた服を上から下まで纏っていた俺は、布に掛けていた手をゆっくりと下におろした。  そして犬神の手によって、するすると俺の纏っていた布は剥ぎ取られて。その最中、犬神は俺の肌に口唇で愛撫しながら「堪んない……」と荒い熱い息が、俺の肌にかかって、物凄く興奮してるのが伝わった。    その時ふと" 男が服をプレゼントするのは、その自分が贈った服を着た子の服を、自分で脱がせたいからだ " という大学時代の先輩の台詞が頭を(よぎ)って、心臓が爆発しそうだった。  百貨店で、俺に服をプレゼントしたいと言ったあの時から、そんなことを考えていたのか?とオーバーヒートしそうな脳内はパンク寸前になって。  そんな俺の感情なんて知る(よし)もない犬神は「真っ赤になってる。かわいい」と何度も俺の全身に優しくキスを落とした。    生まれたままの姿で、お互いを愛撫しながら。何度も、何度も。お互いに白濁を吐き出した。  何度も吐き出している筈なのに、お互いのソコは熱く反り立ったままで。犬神が「挿入()れないけど、羊と、シたい」と俯せになった俺の股の間に犬神のソコを挟んで腰を強く打ち付けた。  パンパンと、打ち付ける音が部屋中に響いて、お互いの熱い凶器が擦れてゾクゾクする。   「羊、足。ん。力、いれて」 「ッ!これ、擦れて、ヤバ……!ほんとに、セックス、してる、みたい……っ」 「あー……堪らない……!ほんとは挿入()れたいけど約束だから、我慢する。羊が、俺の気持ちに応えてくれたら。ココ。俺でいっぱいにするから……!覚悟、して……っ」 「っ!」  犬神の手が、俺の腹の上をゆっくりなぞる。その仕草に、初めて繋がったあの日の感覚が蘇って脳みそが溶けそうだった。    犬神の声が、動きが、視線が、気持ちが。その全てが俺に向かっているのを感じて、おかしくなりそう。 「っ!も、だめぇッ!くる、くるくる……っ!イく、イっちゃ……!」 「お、れも、出る……っ!羊、羊……ッ!好きだ、好き。お前しか、お前だけが……っ!」 「……ん、ァッ……!」 「 ── ッ!」  お互いに吐き出した白濁は、辺りを散らして。目の前は真っ白な花火がチカチカしている。快楽の渦に溺れてしまいそうで、でもそこから抜け出したくなくて、犬神の口唇を必死に塞いだ。  彼も同じ気持ちだったのか、その後もお互いに休むことなくお互いの身体を隅々まで愛撫した。  彼の全部を知りたくて。彼の知らない部分をあるのが嫌だと思った。  こんな気持ち、初めてで ── どうしたらいいか分からない。    何度も、何度も。繋がらずに、それ以外のこと。犬神がしたい、とお願いしてきたことも、俺がしたいと、お願いしたことも。  思いつく限りの欲求は、全部、した。  欲望のまま、お互いに気持ちよくなることだけ、お互いの肌を合わせることしか考えられなくて。  それから俺たちは、ずっと家から一歩も出ずに。月曜、会社に行く直前まで。    裸のまま片時も離れずに、くっついて過ごしたのだった。  

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