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第24話 第3営業部へ!

「第2営業部の、諏訪(すわ) (よう)です。今回の案件の資料、ゼロから作ってるから、事務処理でわかんないこととかあったら気軽に声掛けてね。よろしく、お願いします」  俺が第3営業部へ入った瞬間にほんのり、わぁっと沸き立ってくれた2、3年目の子たちに「いい子たちだなあ」とじんわり温かいものを感じて挨拶をすると、パチパチと拍手が起こって嬉しくてニッコリ微笑む。  そんな俺の肩をガシッと組んだ河瀬部長が涙目で口を開いた。 「諏訪が来たら百人力~!マジでありがとー!あと。有難いことに、もう一匹。大きい魚が釣れたっ!諏訪には感謝しかない……っ!みんな!我が社の営業部のエースである犬神も助っ人に来てくれたぞー!」  河瀬部長のその言葉に彼の紹介をずっと待っていたであろう第3営業部のメンバーはワッ!と大きい歓声を上げた。  新の登場に、第3のメンバーはずっと浮足立っていて。「まさか、そんなわけ」「でも、なんでここに?」と突然の新の訪問にそわそわしていた。そんな彼らに思わずニコニコしてしまったのは俺だ。ここの子たちは心がかわいい子たちばかりで和む。  そして、ここでも新の人気を実感して、さすがだなあ、なんて感じて。俺の気分は近所のおじちゃん状態だった。   「俺で力になれるなら、本望ですよ。第2営業部の犬神(いぬかみ) (あらた)です。何でも聞いて?よろしく」  ニコ、と俺の横でいつもの営業スマイルならぬ " 王子スマイル " を決め込んだ(あらた)に、きゃあっ!と更に黄色い声が部内で跳ねた。  そんな新は、俺の肩にどっしりと乗った河瀬部長の腕を微笑んだまま勢いよく取っ払って。その勢いのままに河瀬部長がよたついた。  部長も、周りの若手たちも。普段の新からは予想も出来ない行動に全員がキョトンとした表情をしていて。その反応に犬神が溜息を吐いた後、ニッコリと微笑みながら口を開いた。 「ああ。すみません。河瀬さんの腕、邪魔だったので」 「おっ、おう?!犬神?えっ、なに?こわい……!」  氷の微笑みの新を前に河瀬部長はビビりちらかしていた。  こんな彼をきっと、部長は初めて見たのかもしれない。でも、安心してほしい。俺もこんな彼を知ったのはつい最近なのだ。  ◇ 「ここ、違う。それ入れちゃうと、数字が反映されないから。そう。そうだよ。それで正解。いいね。この調子で次も作ってみて。出来たら声掛けてくれる?うん、よろしく」    第3の子たちは素直で真面目な子が多かった。  稀代の商社マンである河瀬部長が招集をかけた新鋭たちなだけあって、教えた事はするすると飲み込んでいく。  若手で仕事が出来るといっても、流石にしたことがない事を勘だけで進めるのは至難の業だ。   ( 俺の知識が役に立って本当に良かった。みんないい子ばっかりだし、一週間と言わず3日くらいで流れは掴めそうだな )  俺がホッとしているその横で、営業部隊の女子たちが一定の方向に向かって黄色い声をこそこそと響かせながらチラチラそっちを見ていて。  彼女たちの視線の先には、勿論。アイツが、いた。   「ここの担当者は、融通効かないから無理に押し通さないで。うん、そうだね。その方向で行こう。次、分からないところは?」  きゃあきゃあしていた女性社員を横目に胸がキュンキュンしているのは、何を隠そう、この俺だ。 ( ホントにヤバい……今迄、何とも思ってなかったけど、仕事してる新って、こんな眩しかったっけ……?!)  キラキラ、キラキラしている。恐ろしく眩しい。  果てしなく恰好良く見えて、まともに見れない。  あのスマートに仕事をこなしている淡白(クール)な彼が、俺の前だけで見せる可愛い笑顔とか、嫉妬して苦しそうな表情(カオ)とか、熱の籠った瞳とか。全部が脳裏に駆け巡ってパンクしそうになる。   ( 俺、間違いないや。やっぱり、新のこと ── ) 「羊さん……?」  名前が呼ばれたことに新のことを考えていた脳みそは吃驚して。思わず、バッ、と勢いよく振り返ってしまった。すると、そこには。    二重に翡翠色の瞳。スッと通った鼻筋。綺麗なブロンズヘアの男性。     ── 第1営業部所属の相馬(そうま) (あきら)が立っていた。

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