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第31話 耳に響く、甘く愛しい声 *
「……っ、ん……っ」
彼の寝室で、俺の荒い息遣いと、切羽詰まった声が虚しく響く。
( こんなこと、勝手に新のベッドの上 でしちゃダメだって、理 解 ってるけど……止めらんない……! )
最初は彼の香りに包まれるだけで安心できるだろうと。そう思って、ベッドの中に入り込んだのに。
新の香りが俺を包んだ瞬間に、ベッド での事が脳裏を駆け巡って。切なさに、余計な拍車を掛けてしまったのだ。
( 新のこと、考えながら……イきたい……)
そのことしか考えられなくて、新との接触を思い出しながら露わになったソコを右手で上下にゆるゆると扱いた。
扱いている内に、新が執拗に責め立てて敏感になった胸の突起が、その時のことを思い出していつの間にかぷっくりと膨れ上がっていて。
パジャマの生地と擦れて余計に過敏になる。
「新は、どう、触ってたっけ……」
ゆっくりと左手でパジャマの裾を上に捲り上げると「いつかココだけでもイけるようになろうな?」と刺激され過ぎて敏感になってしまったその部分が顔を出した。
ぷっくりした先端を、爪でカリカリと掻き立てるとゾクゾクして。彼が触っていた様に、指の腹で円を描く様にクリクリ刺激するとゾワっと背中から何かが這い上がる感覚がした。
『羊、かわいい。一緒に、気持ちよく、なろ……っ!』
「ん、ぁ……っ!」
お互いの熱い反り立つソコを、新の大きな両手で包まれて上下に扱かれた記憶が蘇って、その行為を思い出しながら両手を激しく動かした。
『羊、羊……っ!好きだ、好き、愛してる……っ!』
「あ、ぁ、っ、新……っ!あら、た、俺も、すき、好き……っ!」
あの時に言えなかった言葉を、必死に放った。
何度も、何度も。本当は伝えたかった言葉。
( あ、やば、くる。気持ちいいの、くる……イく、イく )
ブーッ!ブーッ!ブーッ!
スマホのバイブの音に、ビクッと身体が揺れる。
イく直前だった俺は、新から電話が来たらすぐ取れる様にと枕元に置いていたスマホの振動に吃驚して慌てて動きを止めた。
スマホの画面を見ると、 " 犬神 新 " の文字。
( あっ、新だ……!ヤバ、こんな状態で……!でも、電話だけだから、分かんない、よね?続きは電話終わったらするとして……!取り敢えず汚れてない左手で )
新の声を直接聞きたくて、元々イヤホンを耳に付けていた俺は、左手で左耳に付けていたイヤホンのボタンを押した。
『羊?遅い時間に、ごめん……寝てた?』
「う、ううん。大丈夫。おつかれ、さま」
『うん、つかれた。早く羊に ── 逢いたい。逢って、抱きしめて。たくさん羊にキス、したい』
「っ!……ふ、……ん、ぅ……っ!」
甘い言葉を耳元で囁かれて。さっきまでイきそうになっていて中途半端な状態で止まっていたせいもあって、新のしっとりとした声に身体と脳みそが勝手に反応してしまって。俺は無意識に白濁を吐き散らしてしまった。
( や、ヤバ、ヤバすぎ……!声だけで、イかされるなんて……っ!声、我慢したけど……バレて、ない、よね )
『 ── 今、イった?』
「ッ!」
『羊……?嘘つかないで。本当の事、言って。今、俺の部屋の俺のベッドの上で ── ひとりで、イったの?』
「っ、それは、その。ご、ごめん、汚し、ちゃ」
『切り替えて』
「へっ」
『ビデオ通話に切り替えて。今すぐ』
「え゙っ゙!いや、その!ちょ、この姿見せるのは……!」
『見たいんだ。その姿の羊を。それとも、誰か別の奴がいるのか?』
「そっ!そんな訳、ないだろ?!俺は!お前がいなくて寂しくて、お前の匂いに包まれたくて、お前のベッドに入ったの!そしたら、新とふたりでやった、あれやこれやのえっちなこと全部思い出して、余計寂しくなって……ひとりで、お前のこと考えながらシ、……っ、── ぅ、あ。忘、れて。ごめ、なんでもな」
『マジか……あー……ますます見たい……ね、お願い。羊?俺にその姿……見せて欲しい……』
「や、やだ、恥ずかしいから、だめ」
何度か押し問答を繰り返して、結局どっちも譲らないまま。このままの状態が続くかと思っていたら、突然。新が電話越しにリップ音を鳴らしてきてゾクっとした。
「っん、な、に」
『羊が可愛過ぎて我慢できない。ね。電話越しにキスしよ?それで、許してあげる。羊……好きだよ。ん、』
ちゅ、と音が耳元で響くたびにゾクゾクっとして。
堪らない気持ちになる。
「ッ!ふ、やば、本当にされてる、みたい……」
『羊も。羊も、キス、して』
「……っ、ん、」
『っ、すご、コレ……ヤバいな ── あ、おっきくなって、きた』
「……っ。お、れも……ん、扱き、たい」
『は、一緒に……しよ……?ん、ん』
「あら、た……っ、ん、気持ち、ぃ……っ」
『羊、羊……っ!あ、俺も、気持ちい、ぅあ……っ、くる、くる……っ!』
「ん、ん、俺も、おれも……!く、る……っ!一緒に、新と、一緒にイき、た」
『ッ!なんで、そんな可愛いこと、言うんだ……っ!クソっ!抱きたい……!羊、羊……ッ!』
「ぁ、……っ、イ、 く、 ッ!」
『 ── ッ!』
白濁を吐き出して、気持ちいい筈なのに、横に彼がいない事が無性に寂しくて。俺からは電話を切れなくて。
新と今日、部屋で別れてから夜、電話するまでの事を学生の時みたいに喋り続けて。
電話を繋げっぱなしにして眠くなるまで耳に彼の声が響くことに安心して、いつの間にか瞼は重くなっていて。
『……羊……?寝た、のか……?』
俺は気付いたら夢の中にいた。だから。
『あの時の君と、こうしてこんな関係になれるなんて……本当に夢みたいだ。羊、ごめん。一週間、って約束……俺は、守れないかもしれない。明日、羊を。もう一度 ── この手で抱き潰したい……、おやすみ』
俺の耳に届いた新の言葉を、俺が認識する事はなかったのだった。
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