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第25話 ほどける

 しばらく。  その格好のまま動けないでいると、ローグが息を吐くのが聞こえた。 「……お前、よくそんなで今まで無事でいられたな」  言われた言葉の意味を掴めずに、目だけでローグの顔を見る。 「ちょっと触られたくらいで、反応が初心すぎる。耐性つけろ」  言われた言葉に、目の前がくらくらした。  今のは、ちょっと触られたくらいのことではないし、耐性なんてどうつけたらいいのかわからない。  それに、自分がこうなるのは、ただ触られたからじゃない。  ローグだからだ。  腹の底から、怒りのような、悔しさのような、何かわからない熱い塊が迫り上がってきて、ノアは両手を下ろした。  顔を上げてローグをまっすぐ見返す。 「大きなお世話です」  そのまま顔を背けて、寝床に転がった。  ローグに背を向けて毛皮をかぶる。  そんなノアを、ローグの控えめな笑い声が揺らした。 「そうか……。悪かったな」  背後でローグの動く気配がして、それから、寝床に大きな体が入ってきた。  それだけで、腹の中の熱がほどけていく。    この人が、好きだ。  どうしようもないほどそう理解して、ノアは目を閉じた。 「おやすみなさい」 「……ああ」  夜明けの気配は近く、ノアの意識はすぐに溶けていった。  撤退まで、あと三日。

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