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第9話:初めての一夜
こうして晴れて”本当”の恋人同士になれた俺と壮太。
なんかまるで夢みたいで、未だに信じられない自分がどこかにいる。
だって俺たち、たまたま同じ学校で、同じクラスで、しかも男同士だし、ありえない。
高校デビューでツッパリだした手前、自分がこんな道へ走るなんて誰も想像しないだろう。
けど今、すごく幸せなんだ。
恥ずかしいけどよ、やっぱり俺はコイツ、唐草壮太が好きなんだなって思う。
「なぁ、司」
「なんだ……壮太」
まだ慣れない下の名前の呼び方に、さっきから胸がざわついて落ち着かない。
それは相手も同じなようで、俺も壮太も落ち着かなくて、どうすればいいのかわからないんだ。
「あの、竜二ってよ。やっぱりこう、恋人と……そういうことしてんのかな」
「えっ………」
「あっ、いや、俺たちにはまだ早いよな」
「あー………」
沈黙が襲ってきて、顔が熱い。
そうか、そうだった、恋人にはステップがあって、俺たちはまだキスをしただけで、その先があるんだ。
なんか無性に恥ずかしくなってきて背中がこそばゆい。
壮太の顔を見ると耳まで赤くなっていて目を伏せていて、俺も自分の手で顔を覆いたくなった。
つか、男同士ってどうやるんだろう?
素直で純粋な疑問だった。
散々自分たちは恋人の建前付き合ってきたくせに、そういうことは考えてなかった。
いや、けど俺たちはまだ本音を確かめ合って数分しか経過していない。
まだだ!まだ!まだ俺たちには早いよね???
そう思って壮太のほうを見て、俺はまくしたてるように言った。
「なぁ、壮太。俺たちはまだ、俺たちにはまだ早いと思うんだ。ゆっくりでいいじゃんねーか?時間はまだたっぷりとあるんだしよ?急ぐことはないんだ。大丈夫だって。竜二の奴は付き合って長いだろ?な?」
「そうか……そうだよな、うん…………」
どうやら納得した様子の壮太に俺は安心し、ホッと胸をなで下ろすと立ち上がった。
テレビゲームももういいし、寝よう!さっさと寝てしまおう!
ぼんやりしている壮太を放置して俺はテレビゲームの電源を消すとテーブルを片づけ布団の準備を始めた。
けどこんなにザワザワしてる状況で正直俺は眠れる気がしねぇ………。
そう考えていると壮太が立ち上がり、俺と一緒に布団を敷き始めた。
「なぁ司、ほれ!」
「な、なんだ!?」
ボフン!と当たり思わず目を瞑ると枕が俺の顔に勢いよく当たった。
驚いて枕を手に取ると、にんまりと笑った壮太がまた俺から枕をひったくって投げてくる。
「やっぱりお泊りの醍醐味ってこれだよな!」
「ちょっ、やめろって!おい!壮太!」
思わず笑みがもれて笑ってしまう。何をしてるんだコイツは。
そういえば友達を家に呼ぶのは初めてだって壮太の母親が言ってたな、と思った。
今のコイツには恋人らしい雰囲気より、こういう友達なノリのほうが嬉しいのかもな。
「おら!」
ぶつけられた枕を壮太へ投げつけて俺も笑うと壮太も笑う。
ちょっと汗かいてきたけど楽しい。
そういえば俺もあんまりこういうことしたことないなと思い、さっきまで緊張してたのが嘘みたいに体が楽になった。
「まだまだ夜は長いぞ~~~!司~~~~!!」
「そうだな!壮太!!」
散々枕をお互いに投げつけ合い、満足すると俺も壮太もぐちゃぐちゃになった布団の上で大の字になる。
汗をかいてしまい、苦笑し、満足感に満ち溢れた時間だった。
「風呂でもいくか!!」
「そうだな!!」
スッと起き上がり、壮太が俺の手を引くと、俺も壮太の手を握り立ち上がる。
持ってきていた着替えを用意し、二人で風呂場へ向かった。
「なんかよぉ、こういうのって楽しいな」
「そうだな。俺も初めてだから」
壮太がケラケラと笑いながら嬉しそうに話すと俺も嬉しくなる。
ああこんな自然に過ごせるんだなぁ。
幸せを満喫し、脱衣所に入ると服を脱ぎ、風呂場へ入る。
童心に帰った気持ちになり、俺たちは風呂場でも遊んでいた。
高校生にもなって何をしてるんだって思うけど、なんでだろうな。
俺も壮太も、まだまだ子供なんだと思った。
こんなの竜二が見たら「色気が足りねぇ」だの言いそうだけど、今の俺たちにはこれで充分なんだ。
大人の階段を上るにはまだ早すぎる。
いつかは来るその日まで、まだ俺と壮太は友達の延長線上にある付き合いでいいのかなと思った。
そりゃぁ、キスはしたけど、したけども。
それ以上は早すぎる。と思う。
恥ずかしいんだと思うけど、それは壮太も一緒だから。
今夜は手をつないで寝よう。
おわり
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久々の更新でした!ありがとうございます!
続きを待っていて下さった方々、お待たせしてすいません。
R指定にしたくてたまらなかったのですが、壮太は友達が今までいなかったので、司とはまだ友達のノリでいてほしいなと思いましたw
本当はお風呂場でG行為も良かったと思うですが、それはまた別の機会にwwwクククwwww
ピュアな関係を続けていきたいなぁと思っていますが、どこかで作者がトチ狂って変わるかもしれません。
その時はご愛顧でwww
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