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第4章 体はもう、俺を覚えてる

編集室の冷たいリノリウムの床の上で、暁斗はただ激しく肩で息をしていた。 ナカの奥に深く注ぎ込まれた熱いモノが、自分の体温と混ざりながらゆっくりと溢れ出ていく。 その、嫌なのに甘い液体の感触が、頭の奥をじりじり焼いていくようだった。 「……ふざけるな、轟……。もう、終わりに、しろ……」 乱れた前髪の隙間からレオを強く睨みつけたが、目尻にたまった涙のせいで、視界は情けなく滲んでいる。 監督としての、撮る側としてのプライドが、この男に触れられるたびにどろどろと溶けていく。耐えられない屈辱のはずだった。 早くここから立ち去り、服を整え、何事もなかったかのように安全なカメラの後ろに戻らなければならない。 しかし、レオは暁斗のそんな抵抗をあざ笑うかのように、細い腰を再び大きな手で強引に引き寄せた。 まだ硬さと熱を失っていない危険な男のモノが、容赦なく、再び濡れた後ろの入り口へと押し当てられる。 「終わり? 勝手にテイクを止めるなよ、監督。お前の口はそうやって突っぱねるくせにさ……お前のナカは、全然終わらせる気ねぇみたいだぜ」 「な……っ、あ、あ腹が……っ!」 拒む言葉を吐き出すよりも早く、レオの熱が再びナカへと一気に滑り込んできた。 一度こじ開けられ、快楽を覚えさせられた後ろは、悲鳴を上げながらも、レオの太さを驚くほど欲しがるように、根元まで簡単に飲み込んでしまう。 「ひ、あ……っ! うあ、あ……っ、れ、お……っ!!」 「ほら、指の時より簡単に根元まで入った。体がもう、俺のサイズを完全に記憶してんだよ。きつく締め付けて、俺のを離したくないってナカがギュウギュウ啼いてるぜ」 レオは暁斗を仰向けに転がし、その白い太ももを大きく左右に割り開いた。 逃げ場のない正面からの結合。 レオがゆっくりと、しかし体重をかけるように深く腰を回し始めると、ナカのいちばん弱く敏感な場所が、ねっとりと、何度も擦り上げられた。 「ん、んんーーっ! 気持ちいい、わけじゃ……ない……っ! これは、ただの……っ、衝撃、で……っ!」 「まだ強がるか。気持ちよくねぇわけがあるかよ。じゃあなんで、俺が腰を動かすたびに、お前、自分から俺の動きを追いかけてんだよ。よく見てみろ、暁斗」 レオが暁斗の手を掴み、二人が激しく繋がっている部分へと無理やり導いた。 熱く、卑猥な音を立てて肉がぶつかり合う結合部。 それ以上に暁斗を絶望させたのは、理性がどれほど拒む言葉を叫んでいても、自身の腰が、レオの強い下半身の動きを欲しがるように、淫らに、自分から合わせて揺れているという現実だった。 (嘘だ……。俺が、自分からこの男を求めている……? 体が、レオの熱を欲しがって、待っているというのか……?) 「やめろ……。見せるな……っ! 俺は、メスなんかじゃない……。お前を、撮る側の人間だ……っ!」 「撮る側、ねぇ。お前が今までカメラ越しに見てきた男たちも、みんなこうやって、理屈より先に体が答えを出してたんだろ? それとも何か……お前自身が一番こうやって激しく犯されたかったから、そういう画ばかりをしつこく求めてたのか?」 レオの言葉が、鋭いナイフのように暁斗の胸の芯を突き刺す。 ひとつ動くごとに、頭の中が真っ白な光で満たされ、言葉の筋道が快楽の重みにばらばらにされていく。 「違う……っ、俺は、男たちの欲望を……作品として、救うために……っ、あ、あぁぁ! 深、い……そこ、はだめ……っ!」 「救う? 笑わせるな。本当に救われたかったのは、他人の身体を借りて自分の欲望をカメラの後ろに隠してた、お前自身じゃねぇのかよ。カメラの後ろという安全な場所に隠れてさ……いつか俺に、こうやってナカをめちゃくちゃに抉られる日を、本当は待ってたんだろ!」 「うあぁぁぁっ! れ、お……っ! 壊れる、壊される……あ、あぁぁっ!」 レオの激しい動きが、暁斗のいちばん弱い場所だけを正確に突いてくる。 衝撃のたびに、眼鏡のない視界が激しく揺れ、床に散らばった編集資料が遠のいていく。 レオの手が前に伸び、暁斗の硬くなった前を容赦なく握り締め、激しいストロークで扱き始めた。 「ほら、前もこんなに溢れさせてビンビンだ。気持ちいいんだろ? 素直に音を上げろよ。『もっと奥を突いてくれ、レオ』ってさ」 「言う、わけが……ないだろ……っ! そんな、屈辱的なこと……あんっ、あぁっ! れ、お……っ、激し、すぎ……っ!」 唇を血がにじむほど噛み締めて耐えようとしたが、肉体はその誇りを完全に笑っていた。 レオが少しだけ腰を引き、わざと焦らすように奥の手前で浅いピストンを繰り返すと、暁斗のナカが、物足りなさに耐えかねるようにキュウキュウと苦しく締まった。 (認めたくない……。なのに、あいつのが離れると、奥が寂しくて、もっと強く突いてほしくなる……。俺は、最初から……) 「ほら、ナカがおねだりして動いてるぜ。お前さ、プライドが高い分、そのメスみたいに堕ちていくギャップが最高にエロい。……たまんねぇな」 レオは暁斗の長い脚を自分の肩へと力強く担ぎ上げ、さらに奥深くへとその熱を突き刺した。 ドクン、ドクンと、ナカの壁がレオの脈打ちを直接感じる。 「目、逸らすなよ、暁斗。お前が今、俺の熱でどんなに乱れた顔をしてるか……ちゃんと自覚しろ。体はもう、俺のものだって認めてんだよ」 「あっ……はぁ……っ! 気持ち、いい……のに……っ、認めない……。俺は、壊されたくなんか……っ!」 暁斗の声が、悔しさと、そして負けそうな快楽の混ざり合った涙で掠れていく。 圧倒的な快感への敗北。 それを心のどこかで求めてしまっていた自分への恐怖が、胸の中で激しく火花を散らしていた。 (どうして……。なぜ体が、こんなにもレオの熱を求めてしまうんだ。俺の美学も、理想も……全部、この男の前に崩れていく……。俺はもう、監督に戻れないかもしれない……) その時、レオが不意に腰の動きをピタリと止めた。 深く繋がったまま、レオは暁斗の涙に濡れた頰を、大きな指先で優しく、愛おしそうに撫でた。そのギラギラとした瞳の奥に、荒い楽しげな色とは違う、不思議な温かさが混ざり始める。 「怖がらなくていいんだよ、暁斗。お前を壊したいんじゃない。隠れてる本当のお前を、引っ張り出したいだけだ」 「れ、お……?」 「欲しがるお前を、俺は汚いなんて思わねぇよ。お前が今まで他人の身体を借りて表現してきたその濁った欲……全部、俺がこの身体で受け止めてやるから。お前が今まで作ってきたものは間違いじゃねぇ。ただ、今度はお前自身も救われろ」 その言葉が、暁斗の耳の奥に優しく染みてきた。 壊すためではなく、見つけるために。 レオは自分の、一番見られたくなかった醜い欲望を暴き、それでも、目を逸らさずに受け止めようとしてくれている。 「やめろ……そんな、優しい言い方は卑怯だ……っ。俺が、自分から、お前を求めてるみたいじゃないか……っ」 「みたいじゃねぇよ。お前は俺を求めてるんだ、暁斗。認めろ、お前のナカは、俺のこれなしじゃ、もう編集できねぇってな」 レオが再び、優しく、しかし確かな力強さで腰を突き上げ始めた。 今度の衝撃は、暁斗の理性を壊すものではなかった。 むしろ、固く守っていたカメラマンとしての顔を、一枚ずつ優しくほどいていくような、深い肯定の熱だった。 「……あ、っ……んっ! れ、お……熱い……奥が、満たされて……っ」 「いい声だ、暁斗。感じることは負けじゃねぇ。お前は壊れたんじゃない。やっと自分の欲しいものを選び始めたんだ」 暁斗は激しく涙をこぼしながら、レオの厚い背中に爪を立てた。 拒む言葉はもう出なかった。 その腕はレオの身体を強く引き寄せ、より深く、その熱を、その優しさを、ナカへと受け入れようと必死にしがみついていた。 (俺は……体だけが負けたんじゃない。本当は、最初から……この男に、見つけてほしかったのかもしれない……) 「……あぁっ! いく、また、それ……いく……っ! れ、お……っ!」 「いけ、暁斗。お前のその乱れた顔、最高に綺麗だぜ」 暁斗は激しく身をよじり、背中を弓なりに反らせながらレオにしがみついた。 二度目の強いメスイキの波が襲い、頭の中の全テイクが、今度は恐怖ではなく、甘い白い熱の中に沈んでいく。 レオも低く艶のある声を漏らしながら、奥の深い場所に、愛を刻み込むように熱い白濁をゆっくりと注ぎ込んだ。 「……出すぜ。お前のナカ、俺の熱でいっぱいに。……はぁ……っ」 長い余韻のなか、レオは暁斗の震える身体を力強く抱き締め、その額に優しくキスを落とした。 暁斗は涙に濡れた目で天井の暗がりを見つめながら、胸の奥の迷いが、静かに形を変えていくのを感じていた。 (体が……勝手にレオを探している。声が、次の言葉を待っている。……俺は、この男の前でなら……) まだ完全には認められない。けれど、拒む気持ちの終わりは、すぐ目の前まで来ていた。

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