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第4話

「おれはもっちゅりんを食べる」 京一郎はまっすぐな瞳で決意を口にした。 モネは何か言いたげな表情で、外出の支度を始めた京一郎を見つめていたが、 「ぼくも行く」 と、腰を上げた。 「お前ももっちゅりんが気になるのか?  猫のくせに生意気だな」 モネは上機嫌な京一郎を見下ろし、小さなため息をついた。 車で5分ほどのところにあるショッピングモールを二人は訪れた。 浮足立ち、歩調の早まる京一郎を、モネはいつものゆったりとしたペースで追いかけた。 平日なのもあり、人はそこまで多くない。 モネはフードコートにあるミスドの入り口で立ち尽くす京一郎に追いついた。 京一郎はモネを振り返ると、 「モネ……  もっちゅりんが……ない」 愕然とした表情で言った。 モネがドーナツの並んだ棚に目を向けると、「もっちゅりん本日分完売」の文字が目に入った。 「そうだろうね」 「なんで?!  なんなの? もっちゅりんて?!」 「ドーナツ」 つかみかからんばかりの勢いで言う京一郎に、モネは淡々と返す。 がっくりと肩を落とし、今日はもっちゅりんの口だった……。おれはこの口をどうすれば……とぶつぶつと京一郎は嘆く。 「すごい人気だから、予約とかしないと買えないみたいだよ」 うなだれた京一郎のつむじに向かってモネは言った。 「おま……それ知ってるなら、先に言えよ」 「言っても聞かないじゃん。  自分の目で確かめるまではわからないとかなんとか言うでしょ」 京一郎は顔を上げる。 付き合いは長くないはずなのに、己の挙動を言い当てられ、憮然とする。 モネは後から来た老夫婦に先を譲るように、京一郎を引き寄せ、道を空けた。 「せっかく来たんだし、ぼくたちも何か食べていこうよ」 二人でショーケースを覗き込んでいる老夫婦を目で追いながら、モネは言った。 「そうだな! ロイヤルミルクティー飲み放題しよう!」 ミルクティーに合うドーナツを探すぞ!とトングをにぎりしめた京一郎を見て、モネは表情をゆるめ、トレーを持って隣に並んだ。

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