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第4話
求めていた味が口内に満ちていく。匂いよりも強い刺激に身体は歓喜に震え、しかし同時にますますの渇望も覚えてしまう。
「っ……くそ、硬いな」
ケイシーのベルトに手をかけたのだが、早くと気が焦っているせいか、うまく外せずもどかしい。
「……あなた様に触れられて熱を持たない者など、この世のどこにもおりません」
卑猥なほうへ勘違いしてくれたケイシーは、器用にも俺の前をくつろげて、後ろへと指を滑り込ませてきた。
「んっ、」
「もう、こんなにも濡らしておられたのですか?」
耳元でささやかれた直後に中をしゃぶられて、ケイシーの唾液の音が頭の中に響いてくる。
「ヒートの……せいだから」
まるで舐められている音が、ケイシーの指に絡んだ音のような気がして身体がますます熱くなっていく。
「あなた様のこのようなお姿を野獣たちの目に触れさせるなど、絶対にあってはなりません」
ケイシーの指が中を這う。動くたびにぞくぞくとして、頭が沸騰しそうなくらい熱くなる。しかし、欲しいのはもっと太くて熱いものだ。ベルトはいまだに外すことができず、形がわかるほどに張り詰めたそこを焦れたように撫でさすることしかできない。
「はあっ、はあっ……ケイシー……」
「ヒートの前後は外へお出にならないよう、徹底することにいたしましょう」
ケイシーは背筋を凍らせるようなことを言うと、性急にも指の数を増やして卑猥な音を大きく車内に響かせ始めた。
「あっ、やめっ、激しくするな……」
御者席は外にあるが、ジョンに気づかれやしないだろうか。
「ルイ様は多少強引にされるほうがお好きなはずです」
ケイシーの言うとおり飢えが少しずつ満ちていく。しかし、指だけというのはどうにも物足りない。もどかしさのほうも同時に募ってしまう。
「ふっ、んっ……んんっ」
もう誰に気づかれようが、どうでもいい。俺はねだるように腰を揺らしてケイシーの首にすがりついた。ぐちゅぐちゅと音を立てているそこは、はしたなくも愛液を滴らせている。不思議なことにオメガは男性でも女性のように濡れてくるのだという。
「これほどまでにはしたなくお乱れになられるのですから……」
ケイシーは俺の腰をさらに持ち上げて座席に膝をつかせると、指での愛撫を続けながらやおらにシャツのボタンを歯と舌で外してきた。糸が切れないようゆっくりと、上目で俺を見ながら続けるケイシーは、それだけでぶっ倒れてしまいそうなほどにエロい。
「っ、……見るな……」
「もしオメガであると知られるようなことがあったら……わたしは自分を制御できる自信がありません」
ケイシーは外し終えて露出した肌に、無遠慮な勢いでしゃぶりついてきた。
「あっ、あっ、」
肌という肌すべてを舐め尽くさねば気が済まないとばかりに舌を這わせてくる。
ひとりでヒートを耐え続けていた日々は地獄のようだった。オメガであることがバレたら凌辱の末に殺されてしまう。わかっていても、あんな日々に戻るくらいなら死んだほうがましというほどつらかった。ケイシーの存在がなければとっくに折れていただろう。
「いっそのこと、あなた様を屋敷に閉じ込めたままにしてしまいたい」
ケイシーは熱っぽくつぶやくと、ベルトを外して張り詰めていたものを取り出した。そそり立ち怒張していて、見た瞬間に喉が鳴ってしまう。
「……承知しております」
ケイシーのほうも限界らしい。真っ赤にした目で俺を見つめながら、辛抱たまらない様子で性器を中へ沈み込ませてきた。
「あっ、ケイシー……」
ようやくという刺激に身体が歓喜にむせぶ。少しずつ中が押し広げられていく感覚は、例えようもないほど甘く、胸のほうまでもが熱くなってくる。
「名を呼ぶのは……お控えいただきたい……っ、ご満足差し上げることが難しくなりますので」
ケイシーは苦しそうに息を荒らげながら、ゆっくりと抽挿を始めた。
「わかっ、てる、けど……ケイシー、んっ」
「……ルイ様、おやめいただきたいと申し上げております」
ケイシーは怒ったように言うと激しく腰を揺さぶって、突き上げを深くしながら荒々しく口づけてきた。
「あっ、んっ……」
口と中の両方でケイシーを感じて足の先まで甘く痺れてしまう。
繋がったところは熱を帯びてあまりの快楽にのぼせてしまいそうだ。
「っ……煽らないでいただきたい」
ケイシーはひとたび俺がヒートを起こすと別人のようになる。アルファとしての本能なのか、普段は従順で甲斐甲斐しいというのに、嗜虐性が顔を出し、自身の欲望を叩きつけんばかりに俺を蹂躙してくる。
「あっ、あっ、……んっ、もっと」
かくいう俺はこれもまたオメガとしての本能なのか、そんなケイシーが愛おしくてたまらず、わざと煽るような真似をしてしまう。
「そのようなこと……」
ケイシーは食いしばるように言うと、俺の首に歯を立ててきた。直後にはっとして肩に顔をうずめてきたが、うなじを噛もうとしたのだろう。わが物にしたいという欲が見えると、ぞくぞくとしてますます興奮してくる。
「んっ、んっ、あっ、」
いっそのこと、噛んでくれたらいいのに。ケイシーを感じるたび、彼に見つめられている間中、幾度となく頭によぎっては振り払ってきた欲望だ。
「はあっ、ルイ様……もう、わたしは……」
「ん、俺も……」
「……っ」
どくどくと中に注がれる熱い種。このときの恍惚とした快感は、満足のいく絵を描いたとき以上のものだ。
このままうなじを噛んでほしい。絶対に口には出せない言葉を胸のうちでつぶやきながら、そっとケイシーの頬にキスをした。
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