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引きこもりの理由
「ねぇ、レアが好きだと思えるものを探してみない?」
「リューリュが一緒に探してくれるなら」
「も、もちろん。一緒に探そう」
大きく頷くと、レアも小さく頷き返してくれた。
あまりにも素直で可愛いレアを撫でくり回したくなるけれど我慢する。
(回帰前にレアが好きだったことがわかればよかったんだけど……)
残念ながらリューリュにはそれがわからないため、一つずつ地道に探していくしかない。
「ほ、本を読んでみない?」
「うん」
本当は唯一レアが好みそうなことはわかっていた。
それは剣術だ。
レアは二十歳で騎士団に入団し、異例のスピードで騎士団長と肩を並べるほどの剣の達人になる。
その剣をいい事に使えたのならよかったが結果は悲惨だった。そのためリューリュはレアに剣を持たせることが少しだけ怖い。
書庫につくと適当な本を手にとって開いた。
「しょ、書庫は、俺のお気に入りの場所、なんだ」
「よく来るの?」
「うん。ここだけは怖くないから……」
「なにが怖い?」
うつむいたリューリュの顔を覗き込むようにレアが顔を近づけてきた。
それに驚いて一歩下がると、本棚に背をぶつけそうになってしまう。
「危ないよ」
そんなリューリュの腰に手を回したレアが、間一髪で本棚から遠ざけてくれた。
おかげでぶつからずにすんだが、レアの胸の中に閉じ込められる形になり硬直してしまった。
「……震えてるの?」
リューリュの異変に気づいたレアが離してくれた。
浅い呼吸を繰り返しながら、落ち着け落ち着け!と自分に言い聞かせる。
「リューリュどうしたの?リューリュの気持ちがわからないから教えて」
「だ、大丈夫っ……む、む、昔を思いだしてっ……」
七歳の頃、リューリュは公爵家の使用人をしていた男に誘拐されたことがあった。
彼はリューリュが一番懐いていた使用人だったが、金に困り公爵家の資産を狙ってリューリュを誘拐した。
無事に救出されたあともトラウマになり人が信じられなくなったリューリュは、触れられるだけでも全身が震えてしまい、喋り方もおぼつかないものへと変化していった。
だんだんと外に出るのが辛くなって引きこもりになるのに時間はかからず、気がつけば二十三歳になっている。
「触れられるのが怖い?」
指先でそっと手に触れてきたレアに、リューリュは力なく頷きを返した。
「なら触らない。そしたらリューリュは怖くないでしょ」
「っ、お、俺から触れるのは大丈夫なんだ……だから……」
本当はこんな自分を変えたいとずっと思っていた。
回帰前は結局なにも変われないまま人生を終える羽目になってしまったから、今回こそは後悔なんてしたくない。
「なら触って」
「へ?」
手を差し出してきたレアにリューリュは丸い瞳を向けた。
「たぶん俺はリューリュに怖がられるのは嫌なんだと思う。だから、リューリュが触れて俺に慣れていけばいい。他の全部が怖くても、俺だけは怖くないって思ってほしい」
レアなりの気遣いの言葉が嬉しかった。
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