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芳名を吊す(十・終)

 墟里(きょり)はかつて要塞だった。  景色は殺伐として太陽の光も薄く、人や家は風に痛んでいる。  役人は数年前から怠慢を重ね、芳名を長くなびかせる征討軍の頭領を傀儡にして久しい。村をうろつくのはその頭領、喬大雀(チアオターチュエ)が連れてきた賊や、名を上げたいごろつきばかり。鼓の音は大地を轟かせるが、笛の音は両親や兄弟を弔うように狼煙とともにいつまでももの悲しく響いていた。  晩景門の悪主座の首が、喬大雀の城に掲げられている。  もしあれが本物の首なら、喬大雀が私たちに門人の残党を刈りつくせなどとは言わない。  小告(シャオカオ)はそんなこともわからないのだ。  喬大雀という愚か者が悪主座に一族を滅ぼされたとねつ造して結束を扇ごうとしていることも。この村を襲ったのは悪主座のふりをした無知な少年だということも。ほくろのかわりに目元を針で刺しただけの、年若い少年だ。それを喬大雀は血も涙もなく首を掻き斬ったのだ。  あの女――  血色の悪い、死人のようなあの女が喬大雀をそそのかした。  そうだ、無乃がいい。あの青年が晩景門の悪主座なら、その首を朝廷に献上してやるのだ。そして私こそが正義をおこなった征討軍の頭領だと名乗り上げる。 「……追い出さなくては。やつらを、私たちの村から」  宣彩(シュワンツァイ)は小告の折れた指を手当てしながら、喬大雀に受けた拷問の数々を痛ましく目に触れた。深い悲しみはやがて報復の鞭となり、大地に深く根付いて激しくしなり、焔のように打ち狂う。  無乃――、  彼を仕留めて、腐りきってしまった私の故郷を取り戻す――

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