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[おまけ]とある狩人の見た光景*
「あぁっ!」
「おい、声我慢しろよ。聴かれるぞ」
一人の狩人が森を歩いている時だった。何やら艶めかしい声が聴こえてきて、狩人は不振に思い声のする方へ近付いた。
「んっ……む……りっ」
「へへ、堪えてる顔もそそるな」
森の茂みに隠れるようにして、なんとエルフがオークに襲われていた。
仰向けに押し倒されたエルフは、剥き出しにされた下肢を大きく広げさせられ、既にオークにその身を深く犯されている。地面には金色の髪が乱れ広がっていた。
エルフは男だがとても美しい顔立ちで、赤く染めた頬を涙で濡らしながらも歯を食いしばり、その屈辱に耐えている様子だ。そんな可憐なエルフにオークは猪鼻を近づけ「ゲヘヘ」と嗤い、無慈悲にも腰を揺する。その動きはエルフのナカを愉しみ味わうようなゆっくりとした動きだった。
「あぁ……スゲェな……。ナカ、脈打ってて、吸い付いてきてるぞ」
オークはうっとりとその快感を噛み締め、エルフに向かって状況を説明するように侮辱的な言葉を吐く。
「くっ……い、言うなぁっ……」
自分の倍以上はある巨体にのしかかられては、当然エルフに抵抗など出来ず、ただただその辱めに耐えるしかない様子だ。
(な、なんて……可哀想な……!)
すぐに狩人は弓矢をとり、オークの頭に狙いを定めた。
(今、助けてやるぞ!)
狩人はそう思ったのだが、すぐに矢を放たなかった。あまりに淫靡なその光景に目を奪われ、腕が固まったのだ。
「んっ……んはぁっ……だめっ……」
「ん? ココがイイのか?」
オークが図々しくも恋人に囁くような声色で優しげに声をかける。エルフは屈辱にも快感を感じ始めてしまったようだ。
「ほら、ここも、イイだろ?」
オークはさらにエルフの上着の中に手を入れ、エルフの胸をまさぐる。エルフの脇腹があらわになった。広げられた太ももと同じく真っ白で柔らかそうな肌。あと少しで胸の飾りも見えそうだ。
「んあぁぁんっ!」
エルフは艶めかしく身をくねらせている。その光景はなんとも甘美だった。
(ハッ! いかんいかん!)
随分と魅入ってしまった狩人は、やっと自我を取り戻した。気を取り直してオークめがけて矢を構え直す。しかし、熱に浮かされた狩人の頭は、この後の展開を妄想し始めた。
『ああっ狩人さま、ありがとうございます! 貴方は私の恩人です!』
『いやいや、当然のことをしたまでですよ』
『なんて……なんて素敵な方でしょう。オークに汚されたこの身を……どうか貴方に清めて欲しい……』
『えっ、いや、そんなっ……』
『もう、身体が疼いてしまって……。お、お願いっ! はやくっ!』
『し、仕方ありませんねっ!』
懇願するエルフの艶めかしい顔と裸体のイメージがもあもあと広がる。そんな展開を期待しつつ、狩人は矢を放った。
ヒュッと空気を裂き矢が飛ぶ。
「ガッ!」
見事に命中。
矢の刺さったオークの頭からは鮮血が噴き出し、意識を失った巨体はエルフを押しつぶすように倒れた。
「あ゙あ゙あ゙ぁぁぁ!!」
突然死んで倒れ込んできたオークにエルフが絶叫をあげる。可哀想に。すぐに助けてやらねば。
「大丈夫ですかぁ〜?」
狩人は憐れみの表情でエルフに駆け寄った。するとオークの巨体の隙間からエルフがキッとこちらを睨んできた。
次の瞬間。巨大な波動が空気を震わせ狩人に襲いかかった。
「うわぁぁぁっ!!」
狩人は一瞬にして吹き飛び、巨木に背中からぶち当たった。
「うっ……! なんだっ……?!」
太い幹に打ち付けられ、木の葉がバサバサと落ちてくる。狩人は痛む背中と腰をさすりつつ顔を上げると、オークが緑の光に包まれている。
「ライモっ! しっかりしろ! 死ぬなっ!!」
なんとエルフがオークの巨体を抱き締め、魔術で治癒していた。
「……は?」
狩人は呆然とその光景を見つめた。
エルフに抱きかかえられたオーク。頭に刺さった矢が抜け落ち、傷がスルスルと消えていく。
「ハッ!!」
「あぁ! ライモ!! 良かった!」
オークが目を覚まし、驚いたように顔を上げ、エルフは歓喜しオークを抱き締めた。
「な、なんだ?! 何があったんだ?」
目を見開き、キョロキョロと辺りを見渡すオーク。
「アイツがいきなり攻撃してきたんだっ!!」
エルフはそんなオークの下から這い出て、狩人を指差した。その緑の瞳は怒りに、いや、殺意に満ちている。そして、乱れた衣類を気にすることもなくこちらへ近づいてきた。
「いきなり撃ちやがって! 繋がってたから良かったものの、普通の治癒魔術じゃ助からなかったっ!」
『 繋 が っ て た か ら 良 か っ た 』
狩人は「ナニが?」と質問したくなった。しかし、エルフは両手からバチバチと雷を出しこちらにやって来る。
「わ、私は貴方を助けようとっ!」
「殺してやるっ!」
エルフは狩人の言葉に耳を貸すこと無く、美しい顔を歪ませて怒り狂っていた。
「ユリ、まあまあ、落ち着けよ!」
そんなエルフを後から「どうどう」となだめたのはオークだった。
「番を殺されかけたんだぞ! 落ち着けるかっ!」
オークは「よしよし」と言いつつ、怒り狂うエルフの乱れた衣服を丁寧に整えてやっている。その光景はまるで幼児とお母さんだ。
「つ、番って……?」
狩人は呆然と尋ねた。
「私達は番だ! オークとエルフだからって確認もせず攻撃してくるなんて、今どき価値観が古い! どんな山奥で暮らしてたんだっ?!」
(あ……なんかこのエルフ、性格悪いな……)
助けてやったつもりなのに、人格まで否定するような言い回しで罵られている。狩人の中にあったエルフのしとやかなイメージがガラガラと崩れていく音がする。
「まあまあ。狩人さん、コイツを助けようとしてくれたんだよな。ありがとな。紛らわしいことしちまって悪かったよ」
(あ……このオークはなんかいい人っぽい……)
今度は狩人の中にあったオークのイメージも崩れていく。
自身の頭を射貫かれたにも関わらず、オークはなんてことは無いように笑い、エルフを助けようとした狩人に礼を言ってくるのだ。
「いや、すまない。早とちりして悪かったよ……」
狩人はそう謝罪を述べると早々にその場を立去ることにした。オークがエルフをなだめているうちに。
森へと歩き始めると、背後から二人の会話が聴こえてきた。
「だからこんな所でダメだって言っただろう?」
「だって、なんか欲しくなっちゃって……。発情期が近いのかも。でもライモだって結局ノリノリだったじゃないか」
「ユリに誘われて俺が拒否できる訳ないだろ?」
(なんなんだよっ!単なるバカッツガイかよ)
狩人は呆れながら森を進んだ。
とんだ災難だった。
おわり
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