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第11話

仕事――。 そう思って飛び起きた。 勢いよく身体を起こした瞬間、頭がぐらりと揺れる。 「っ……」 思わず額を押さえる。 熱は少し下がったようだが、まだ本調子ではないらしい。 それよりも。 見慣れない天井だった。 白い天井。 シンプルな照明。 自分の部屋ではない。 数秒固まる。 ここどこだ。 記憶を辿ろうとして――途中で諦めた。 先輩の車に乗ったところまでは覚えている。 そこから先がない。 恐る恐るベッドを降りる。 寝室のドアを開けると、廊下の先からテレビの音が聞こえた。 リビングへ向かう。 すると。 ソファーでくつろいでいる先輩がいた。 脚を組みながら雑誌を読んでいる。 完全に自宅モードだった。 「あら、起きたの」 こちらに気付いた先輩が顔を上げる。 「おはようございます」 反射的に挨拶すると、 「もう夜だけどね」 と返された。 時計を見る。 午後八時過ぎ。 思った以上に寝ていたらしい。 「すみません」 思わず頭を下げる。 「ベッドお借りして」 「気にしなくていいわよ」 先輩はあっさり言った。 「熱出してたんだから」 まるで当然のことを言うように。 その反応に少しだけ肩の力が抜ける。 怒られるかと思っていた。 「それより」 先輩が立ち上がる。 「お腹空いてない?」 そう言われて初めて気付いた。 最後にまともな食事をしたのはいつだっただろう。 「少し」 正直に答える。 すると先輩は満足そうに頷いた。 「よかった」 「え?」 「食欲ないって言われたら病院連れて行くところだったもの」 冗談なのか本気なのか分からない。 「そこ座りなさい」 キッチン近くのテーブルを指差される。 言われるまま椅子へ腰掛けた。

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