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第28話
先輩に言われた通り、水を一杯飲んでから浴室へ向かった。
服を脱ぎ、シャワーで軽く身体を流す。
温かいお湯が肌を伝うたびに、少しずつ力が抜けていく気がした。
そして浴槽へ足を入れる。
「熱っ……」
思わず声が漏れる。
けれど肩まで浸かる頃には、その熱さも心地よく感じられた。
ふぅ、と長く息を吐く。
静かだった。
換気扇の音だけが小さく響いている。
目を閉じる。
すると、今日の出来事が頭を過った。
元彼のこと。
恋人のこと。
先輩に全部話したこと。
今まで誰にも言えなかったこと。
思い出すだけで胸が苦しくなるはずだった。
だけど今は少し違う。
全部吐き出したからだろうか。
心の奥に溜まっていた重たいものが少し軽くなっていた。
お湯の中で指先を見つめる。
ずっと張り詰めていた。
一人で何とかしようとしていた。
平気なふりをしていた。
だけど、本当は全然平気じゃなかった。
「疲れたな……」
ぽつりと呟く。
その言葉は湯気の中へ消えていった。
肩までしっかり浸かる。
先輩の言う通りだった。
身体の緊張がゆっくり解けていく。
強張っていた肩も。
重かった頭も。
少しずつ楽になる。
あと少しだけ浸かろう。
そう思いながら、俺は静かに目を閉じた。
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