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第38話
昼過ぎだった。
「ちょっといい?」
上司に声を掛けられる。
「はい」
何かやらかしただろうか。
そんなことを考えながら会議室へ入る。
上司は一枚の資料を机に置いた。
「来月なんだけど」
資料に目を落とす。
県外で行われる合同会合。
取引先との顔合わせや情報交換を兼ねた出張らしい。
「他部署から一人、うちの部署から一人選出することになった」
「はい」
「今回は君に行ってもらおうと思ってる」
突然の話だった。
少し驚いたが、断る理由もない。
「分かりました」
二つ返事で了承した。
「よろしく頼む」
「はい」
それだけで話は終わった。
出張か。
少し面倒ではあるけれど、仕事だ。
別に嫌でもない。
そのまま自分の席へ戻り、いつも通り仕事を続けた。
それから数日後。
再び上司に呼ばれる。
「悪い」
開口一番、そう言われた。
「今回の出張なんだけど」
嫌な予感がした。
「君じゃなくなった」
「……そうですか」
「事情が変わってね」
詳しい説明はなかった。
別の人が行くらしい。
「すまない」
「いえ」
特に気にしていなかった。
元々絶対に行きたい仕事でもない。
「分かりました」
それだけ言って席へ戻る。
少しだけ不思議だった。
何で変わったんだろう。
そんな疑問は浮かんだ。
だけど。
「まぁ、別にいいか」
小さく呟き、俺はまた仕事へ意識を戻した。
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