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「では続いてのコーナー参りましょう! 次は今夜のスペシャルゲストの登場ですよ~!」
深夜1時台、アプリからではなく手のひらサイズの白いアンティークラジオから流れるのは隔週で放送されているらしい人気急上昇中アイドルグループのラジオ番組
「えぇ! スペシャルゲストぉ~? だれだろぉ~」
わざとらしく焦らすアイドルグループのメンバーらしき声
いいから、早くゲストを紹介してくれ
ダラダラとしゃべり続けるアイドルたちの雑談に付き合わされること数分。興味の無い話は聞き流す癖を十二分に発揮していた俺の耳に、
一人の男から衝撃的な言葉が入ってくる
「ちょっと友達連れてきちゃった」
「え、友達? 景人 知り合いだったんだ」
「マブダチ」
「ふっマブダチっ懐かしい言葉……ふふっ、じゃあその辺も詳しく聞きたいと思います! さっそく参りましょう今夜のゲスト、人気沸騰中のグループ、LaddiaMのHikaruさんです。どうぞ~!」
パチパチ~(拍手)
「どうも~LaddiaMのHikaruです~」
勢いよく紹介されたHikaruだったが、いつものごとくなんかゆるい感じで登場した
「お越しいただきありがとうございます、さっそくなんですけどうちの景人と友達なんですか?」
そうそう、それ気になった
「この間フェスで一緒になったじゃないですかーそのときに、ね? 景人」
Hikaruが景人って人に同意を求める
「そうそう、同郷ってことで地元トークが盛り上がっちゃって」
へぇーHikaruと景人って同郷なんだ
……羨ましい
ーーラジオ終わりで局の地下駐車場
景人が食事に誘ってくれたので待ち合わせ中……なのだが、こんなとこ記者に見つかったら大変だな
一応キャップを目深に被るが、辺りを確認してもそれらしい気配は感じない
ブゥゥウンと、外から甲高いスポーツカーの音がするのみの、薄暗くて静かなそこに現れたのは
「光~ごめん遅くなった~」
あ、訛 ってる。第一声から
景人と話すとき自然と地元のノリで会話しちゃうんだよね
のんびり現れたにしては大ぶりマッシュにシャドウパーマのかかった前髪がちょっと乱れているので一応急いだのだろう
「大丈夫だよ~それより本当にいいの? 僕と二人でいるところなんて見られたらいろいろ噂されちゃうよ?」
「はぁ~? そんなの関係ないじゃん、俺たち友達だろ? 何にもやましいことなんてしてない」
「それはそうだけど……」
「それともなに、光この俺のイケメン度に惚れた?」
「は? 景人に惚れるとか虫酸 が走るんだけど」
「おい、ひでぇな」
「全然タイプじゃない」
「さらにひでぇな」
ふっ……この景人との会話に取れるリズム感が心地いいんだよな~
夏の夜にコンクリートの上で時折バウンドさせてキャッチボールしてる感じ
匠海と会話してるときも心地いいけどあっちは芝生の上で匠海が放ったラバー性のブーメランが匠海に返っていく。その間に僕が乱入して勝手に捕まえる感じ。この違い伝わる?
「じゃあ、行くか」
二人でお店に向かおうとしたそのとき
ブォォン
一台の紫がかった黒い車が駐車場に入ってきた
キキィーッ
荒っぽく停まる車
バッとドアが開き中から現れた見知った人物に僕は顔面蒼白になる
「……光、やっと見つけた」
「た、たくみっ」
ずんっと佇む異様な雰囲気
「何で、僕の連絡、無視するの」
いつものようにゆったりと言葉を発する匠海、だけどいつもと違う圧を感じる
震える僕の肩に景人がそっと触れて語りかける
「光、大丈夫?」
するとそれを見た匠海がチッと舌打ちをして、ずんずんとこちらへ近付いてきた
ついに目の前までたどり着いた彼は
「光、家で話そう」
そう言って僕の手を引っ張る
「ぃ、ぃや……」
か細い声で抵抗を試みたそのとき
「嫌がってるだろ、その手、離せよ」
景人が間に入ってくれた
「君には関係ない」
「関係ある」
僕は太い芯のある景人の声に少しほっとする。
そして、落ち着いた頭で咄嗟に今の状況を客観視してしまった
“オメガを挟んでアルファ二人が言い争っている”
こんなところマスコミ関係者が見たら、
翌日にはネットで三角関係、修羅場の見出しが踊っちゃう
そしたら僕、完全に尻軽オメガの地位を確立させちゃう
と、このときの僕はまだ呑気な頭で考える余裕があったのだった
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