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第16話

夏目くんが帰った部屋は静かだ。 別に夏目くんがお喋りな訳ではない。 感じ方の問題だろう。 蹴っておきながら洗い物を済ませて帰宅するなんて本当に面白い子だ。 怒っているならそのまま帰りそうなものなのに。 シャワーを浴びるために、服を脱ぎ捨てると洗面台に向かう。 そこに映る腹は真っ青だ。 夏目くん、若いもんなぁ 運動神経も良さそうだし 内臓は平気そうだが、暫く色はひかないだろう。 そっと指先で触れてみると腐った葡萄みたいだ。 やわらかく凹み、想像した弾力がなく違和感がある。 佐伯くんにバレたら面倒だな ニヤニヤしながらからかってくるに決まってる こんな大きな痣は幼い頃に弟に玩具で殴られたぶりだ。 この歳になってこんな青痣が出来るなんて思いもしなかった。 それにしても腹が気になる。 歳のせいか出てきたような気もする。 いや、電気の加減かもしれない。 気になったところで甘い物をやめる気もない。 暫くは湿布で隠せばいいか 座ってる分には支障もない それより、後日痣をみて顔面蒼白になる夏目くんを想像すると面白い。 真面目な子だから気にするのだろう。 こんなもの、気がついた頃には治るのに。 サッとシャワーを浴び、湿布を貼ったら仕事の続きだ。

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