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第19話
編集部に呼び出された。
一冊書いてみないか、と。
参加予定のイベントもないので時間は十分に充てられる。
了承すれば、なら摺合せをしたいから編集部に来れる?と佐伯さんに呼び出された。
シフトを伝えると「夏目くんの都合のいい日で大丈夫だよ。その辺りは俺も会社にいるから」と。
どこまでも気遣いのプロだ。
それならと日時を指定させてもらった。
先生の元に行くことになったのも、今日みたいに呼び出された日だった。
はじまりも終わりもこの会社なのかと思うと不思議だ。
そのせいか、なんだか足が重い。
トボトボと歩いていると見知った頭を見付けた。
「あの、佐伯さん…」
「夏目くん?
ごめん、少し待ってて…」
角度から気が付けなかったが、電話中だったらしい。
パクパクと口を動かし『すぐに終わらせるね』と付け加えてくれる。
こういう一言が仕事が出来ることを証明している。
だが、今はそれさえ自分を責めてくる。
頷きはしたが、笑顔はつくれていたのだろうか。
廊下に出ると隅で一人反省会を再開する。
こちらが済んだら、先生の部屋だ。
先生のところをクビにされるのだろうかと思うと胃の辺りがキリキリする。
キリキリ、シクシク。
なんとなく嫌な感じがする腹を擦ってみても治りゃしない。
それでも謝りたい。
許されたいからじゃない。
……大切にしたいから。
いっそ、廊下の隅に置かれる観葉植物の影に隠れてしまいたい。
そうすれば、猶予が伸びるんじゃないか、なんてな…。
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