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第25話
季節のオムレットは、どの季節に食べても美味しい。
春の苺も美味しかったが、初夏の果物も甘酸っぱくて身体の内側から元気が出るようだ。
アイスコーヒーとも合う。
「で、なにを書こうかは決まってるのかい?」
「え…?」
「ん?」
…………すっかり頭から抜けていた。
先生と普通に喋れるようになったからって安心しすぎた。
そもそも佐伯さんとの話し合いもまともに出来てなかった。
急に頭がぐるぐると回りだす。
「いや、特に決められてなくて……」
「佐伯くんと話したんだろ?」
「まぁ…」
「煮え切らないね。
そんなに俺が気になってたのかい?」
「……すみません」
先生を気にはするだろ。
思いっきり蹴った意識があるだけに、無視することが出来なかった。
今でも足の裏に腹のやわらかさが残っている。
先生は肘掛けに腕をつきながら指先で唇を撫でた。
数度擦るとなにかに気が付いたのか指先を見てからボトムスに擦り付ける。
おおよそ、今し方食べていたオムレットの油分だろう。
そんなことどうでもいいとばかりにスマホを取り出す。
そして、数度タップした。
数度のコール後に聞こえてきた聞き慣れた声に先生の声がすぐに被る。
「あ、佐伯くん?
夏目くんから聞いたよ」
佐伯さん…?
「そう。
沢山いじめてあげてくれよ」
『いいんですか?』
「いいよ。
俺が面白いからね」
「せんせ…っ」
『え?
夏目くん?
あぁ、仲直りしたんですか。
つまらない』
「失礼だねぇ」
スピーカーにして佐伯さんが言うと、もうしてるよと先生が続けた。
相変わらず呼吸が合っている。
小説で例えるならシャーロックとワトソンみたいだ。
『夏目くん、聞こえてるかな。
先生もそう言ってるし本腰入れてみようか。
俺も出来ることはさせてもらうよ』
「はい。
よろしくお願いします」
『うん。
がん…』
ブツっと通話が切れた音がした。
「あ、切れた。
もう一度かけるかい?」
「あ、俺からします」
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