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第27話
先生の部屋からの帰り道、なんとなく遠回りをしてみた。
夜風が気持ちよく前髪を揺らしてくれる。
削りたくないもの、か
改めて言われると難しい。
同人誌として出した本も書きたくて書いたものだ。
佐伯さんに提出している話も。
けど、書きたいものではなくて“削りたくないもの”。
そう言われると悩む。
考えたこともなかった。
先生は全部書けばいいと言ってくれた。
けど、そんな簡単なことなのか。
簡単にしていいのか分からない。
……コンビニ行こ
なんとなくコンビニに入って、飲み物を買う。
これからどら焼きも。
先生の真似ではないが、甘い物を食べればなにか浮かぶかもしれない。
支払いを済ませ自動ドアを抜けると、交換だとばかりに蛾が店内に入り込んでしまった。
バイトの店員は気が付いていない。
バレないように出ろよ、と心の中で伝えてから道路に出る。
人もほぼいない。
なら、ここで噛りつくのもいいかもしれない。
ペットボトルを脇に挟み、どら焼きの封を切ると大きく頬張った。
うっま
美味いけど、浮かばねぇなぁ…
あんこが甘くて、生地がしっとりしてて、美味しい。
松福に比べると甘いがこの甘さもいい。
どこにでも売ってるどら焼きの安心感だ。
安心する。
それが甘い物の魅力なのかもな。
どんなにどら焼きが甘くても、夢は甘くない。
小説なら閃くところなのに。
全部、書いてみるか
無謀だなんて自分が一番理解してる。
それでもいい。
同人誌は自分のために書くもの。
それなら得意だ。
ポケットにしまったばかりのスマホを取り出し、手を動かしてみる。
なにが見えるかなんて分からない。
どんな話になるかも分からない。
それでいい
没ならまた書く。
それも没ならまた書く。
一つでもいいね、と言ってもらえたらそこから伸ばせばいいんだ。
もう一口どら焼きを頬張り、水を飲むとその場で書き出した。
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