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第38話

「美味しいねぇ。 なぁ、佐伯くん」 「美味しいです。 夏目くん、俺の分までごめんね」 「いえ。 先生の食費ですし、二人分も三人分もかわりませんよ」 パクパクとポークチャップを頬張る先生の方に佐伯さんは煮物を押した。 先生は気にすることもせず、ご飯を食べている。 こうして見ると子供とその保護者だ。 「今日もサビ残ですか?」 「俺が先生に無理矢理頼んだことだからね。 かわりに、会社での残業じゃなくなったからラッキーだよ。 こうして飯も食えるし」 疲れた顔をしている佐伯さんはそのままの顔で味噌汁を飲む。 先生の仕事が終わり次第、会社に戻るらしい。 それは……このご時世の働き方として大丈夫なのか…? というか、佐伯さんの体力は大丈夫なのか。 仮眠したりウトウトする姿は見たことがない。 「夏目くんは大丈夫?」 「はい。 また書けたので後で送りますね」 「あ…、うん」 「?」 原稿の方ではないらしい反応だ。 けど、佐伯さんはそれを指摘してこない。 先生も気にせず食べ続けている。 「先生、好きな物ばかり食べませんよ。 教わったでしょ」 「美味しい物だよ」 「減らず口……」 仕事のことがあるからか佐伯さんはいつもより強くは言わないが、野菜のおかずがスッと先生の前に並んでいく。 本当に見ていて楽しい人たちだ。

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