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第48話

夏目くんの実力なら、公募先を正しく選べば書籍化は可能性がある。 あの先生についていけるガッツもある。 夏目くんを売り出したい。 編者として、俺個人として、それだけの能力のある子だと思っている。 ただ、どちらも勘でしかない。 確証がなければ売り出せないのがこの世界だ。 だからまずは、売れる見込みがあると判断される実績を作れればいい。 「例えば、電子書籍のみとかはどうかな。 そこで読者をつけるとか」 『電子…ですか』 「そう。 味方をつけることで実力があるってことのアピールが出来るでしょ。 まぁ、出版社としても在庫抱えなくていいって利点があるからね。 書店員ならその辺りは理解してるよね」 やべ… 黙っちゃった… つい言葉にしてしまったものに夏目くんは考え込んでしまう。 今のは完全に言葉を選びきれなかった自分のミスだ。 自分の気持ちをきちんと伝えてくれる子だが、先生のように自分を押し通せる子ではない。 押し殺させてしまうのは避けたかったはずなのに。 「ごめん、言い方が意地悪だったね」 『紙も、がいいです…』 この子ならそういうだろうとは思っていたけど、そうだよな。 同人誌出してるくらいだから紙だから出したい欲のある子だなんて分かりきっている。 印刷した紙を眺めながら、夏目くんの実力に合いそうな物をいくつか見繕う。 そこまで時間を開けず、だけど遠すぎないもの。 今年か、今年度中。 短編ではなく、8万字から11万字程の実力の出せるもの。 他社ならあるのか… けど、夏目くんを手放すのは惜しいな この辺りだと… パソコン画面から目ぼしいものを見繕う。 少し挑戦的なものでも、夏目くんなら対応出来るだろうと希望も込めて。 「分かった。 紙になるやつにしよう。 それなら、秋頃に良いやつあるんだ」 『すみません、我が儘言って…』 「いや、紙がいいよね。 分かるよ。 俺も本は紙で揃えたいし。 電子は楽だけどね。 そういうことじゃないもんね」 会社としては売れる売れないは大切だ。 だけど、この子をそれに巻き込むのはまだ早い。

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