51 / 52

第51話

店内は時間のお陰か混んでることもなくすぐに席へと座れた。 腹ペコの今はそれがとても有難い。 席で鞄を下ろすと早々に電子端末へと手を伸ばす。 「先生、なに食べますか?」 メニュー画面を開いたタブレットを差し出すと先生は首を横に振った。 「俺のことは気にせず、夏目くんから選びなさい。 もてなすとはそういうことだよ」 「じゃあ、遠慮なく」 ここで変に遠慮する方が失礼だ。 本気には本気で対応することこそ、先生は喜ぶ。 米もいいが、ピザもいい。 さっぱりした麺も捨てがたい。 肉もいいが、中々食えない珍しい料理もいい。 子供みたいに目移りしてしまう。 本当にファミレスは久々だ。 なんだかんだ先生と食事をしたり、あまり利用することはなくなっていた。 「肉かな。 ハンバーグ美味そう…、ミックスグリルも美味いよな…。 魚も美味そうだなぁ」 先生はずっとにこにこと此方を見ている。 小さい頃、外食に行った時のじいちゃんみたいだ。 緊張するような、嬉しいような。 だからかつい幼いことを考えてしまう。 「先生と違うの選べば倍食べられますか?」 「それでもいいよ」 先生は、ふわっとやわらかく微笑んだ。 こんな顔も出来るんだ… 最近の先生は表情が豊かな気がする。 穏やかに笑ったり、年相応の顔をしたり。 先生は俺より年上だし当たり前のことを言ってるみたいで嫌だけど、大人みたいって思うから他に言いようがない。 「ゆっくり選びなさい」 ほら、まただ。

ともだちにシェアしよう!