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第53話
「お待たせしましたにゃん」
「おや、可愛いね」
「見たことないんですか?」
「テレビでは見たことあるよ。
ね」
ロボットに同意求めるおっさんって……
配膳を受け取る向かいで先生は珍しそうにロボットを見ている。
顔がかわるのかい、と興味津々だ。
けど、不思議と世間知らずだとは思わない。
現にメニュー表が紙からタッチパネルにかわったことへの言及はない。
単に見慣れないだけなのだろう。
こういう好奇心があるから、本を書き続けられているのもしれない。
そう考えると先生と作家は相性がいいんだろうな。
羨ましい。
「ごゆっくりにゃん」
「うん。
ありがとう」
猫型配膳ロボにお礼を言い、ひらひらと手を振っている。
キッズだ…
けど、それが先生らしいと思う俺も俺だ。
完全に毒されている。
「あの、つかぬことを伺いますが、俺がいない日ってなに食べてるんですか…?
たまにカップ麺とかお弁当の容器が捨ててありますけど、毎日って数じゃないですし」
米を多めに炊いたりカレーなんかは作り置きして冷凍しておくが、それでもいない日分全てを賄える量を用意している訳ではない。
それに関しては先生からも佐伯さんからも気にすることはないと言われている。
食材を買っておいてもほぼ使わない。
使ってもたまごや葱なんかの薬味類がほぼだ。
たまごかけご飯や、インスタントに薬味を足すくらいはするのだろう。
先生だって料理が出来ないわけじゃない。
男女一緒に家庭科も習ってきた世代だ。
出来ない訳ではないのは理解してる。
だから今までは深く考えないようにしていたが、正直気になる。
ただの好奇心だけど。
「ん?
佐伯くんが持ってきてくれたり、出前もするね。
近くの定食屋も行くよ」
ガスや水道代を考えると外食や店屋物の方が安いのだろうか…。
どうしても学生時代の癖が抜けず自炊をしてしまいがちで、外食してもラーメンや牛丼が多い。
簡単に丼内で主食と主菜が摂れるのは手軽で有り難い。
それでもラーメン一杯に千円となると迷ってしまう。
…本当に本で生活出来てる人なんだな
「けど、夏目くんの作ってくれる食事が一番美味しいよ」
「またそうやって褒めて…」
「褒められるのが好きではないのかい?
天邪鬼だね」
「先生が素直すぎるんですよ」
先生は「そうかな?」と軽く言ちてから目の前で手を合わせ「いただきます」と箸を手に取る。
「いただきます」
「夏目くん、俺のも少し食べなさい。
沢山食べられるよ」
さっき言ったこと本気にしてくれたんだ…
「ありがとうございます。
なら、俺のも少し食べてください」
「甘い物が…」
「俺だってデザート食べたいですし。
それに、ちゃんと食べたらかき氷にあんこのトッピング追加しますよ」
「おや、それならいただこうかな」
本当に歳の分からない言動ばかりの人だが、なんだかとても落ち着く。
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