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第13話 そんな疑問は本人に聞いてくれ

「|豊穣《ほうじょう》龍様でも性欲はあるのか」 「何、言ってんの、ハルロット」  ユリウスとリリアーヌとのお茶会に今日はハルロットとリヴァス王子も参加している。している理由はサジェンタがユリウスの傍にいるようになったからのようで、三人はけん制し合っていた。  これはこれで面白いのだが、自分は巻き込まれたくはないので遠巻きで見ておく。  ただ、今はサジェンタは所用でおらず、リリアーヌもまだ来ていない。なので、彼女がくるまで中庭のテラスで適当に雑談をしていたら、ハルロットが何の前触れもなくそんなことを聞いてきた。  それにはユリウスもリヴァス王子も「はぁ?」と声を上げている。聞かれたシャルルが突っ込んだわけだが、ハルロットは「いや、純粋な疑問なんだ」と言ってくるではないか。 「神でもそういったものがあるのか、純粋な疑問だ」 「エドゥが中庭にいないからってお前ね……」 「聞くチャンスだろ」  何がチャンスなのだとシャルルは思ったけれど、神でもそういった欲求があるのかというのは純粋な疑問というのは伝わった。  気になる人はなるものかと少しだけハルロットの気持ちを理解する。とはいえ、性事情を話す理由は無い。  どうでもいいじゃんと返しながら三人を見れば、ハルロットは不満げで、リヴァス王子は興味ありげだ。ユリウスも気になっているふうで、シャルルは苦笑する。 「俺にも分からないよ。まぁ、頻繁に求めてこないってことはそこまであるわけでもないんじゃない?」  契りを交わした以降、エドゥアールヴァレットと性行為はしていない。求められないということは相手はそれほど性欲が強くないということではないだろかとシャルルはそう解釈していた。 「それはそれで大変そうではあるが……」 「だよな、人間って欲は溜まるわけだしな」 「人の顔を見ながら言わないくれない?」  確かにシャルルにだって人並みには性欲がある。一人で致すことだってしたことはあるのだから、溜まるものも溜まるわけだけれど、他人に心配されたくはなかった。  神殿内ではエドゥアールヴァレットと殆ど一緒にいるのだから、一人で処理する時間がないけれど、そこまで頻繁にやっていたわけでもない。特にそう特に不便は感じていない、と思いたい。 「別にやらなくても困るわけでもないからいいんだよ」 「そ、そういうものなの?」 「ユリウス、エドゥに聞かないと分からないよ、そういうのは」  性欲があるかなんて本人に聞かないと分からないのだからと言えば、それはそうだよなとユリウスは頷いた。ハルロットもリヴァス王子もそれには言い返すことができない。  そもそも、何の話をしているのだとシャルルは呆れる。 「お兄様ー!」 「リリアーヌが来たからこの話は終わり」  彼女の教育によろしくないとシャルルは駈け寄ってくるリリアーヌに手を振る。女性の前で話すことではないと三人も理解したようで、それ以上の話を広げることはしなかった。 (性欲ねぇ)  契り以降、抱こうとしないエドゥアールヴァレットにシャルルは神というのはそういった俗物的なものが薄いのかもしれないなと思った。  キスすらないのだから、人間とは違った感性をしているのだろう。あるいはそれほど愛されていないのかもしれないと考えて、そもそもあの会話だけでどう好きになるというのかと疑問が湧く。  言動と態度に惹かれたとは聞いているけれど、人間でいうところの一目惚れに近いのだろうか。神でもそういったことをするのかとなんとも意外に思う。 「お兄様、どうしたの?」 「いや? なんでもないよ」  黙ってしまったシャルルに声をかけたリリアーヌは首を傾げていた。そんな妹に「なんでもないよ」ともう一度、声をかけて頭を撫でてやる。  別に困っているわけでもないし、いいかとシャルルは考えるのを止めてリリアーヌたちの会話に耳を傾けた。

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