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第54話光のソラス②

 シュトルムではだめだった。彼ではだめだった!!!シュトルムは君に優しかった。ああ見えて君の思いを尊重してくれる人間だった!!!  どうして永遠の別れをああも容易く受け入れるのか、理解が出来ない!!本当に愛しているのなら何をしてでも止めるはずなのだ!!やはり、僕の方が君を深く愛している!!  感情がぐちゃぐちゃになりながら、君がほかの男と一緒になるのを見届けたのに、結末は何も変わらなかった。  いや違う、方向性はあっているはずだ。あれはたまたまシュトルムという男の性質が悪かった。  次に君の備品を弄ることで雑貨屋へさりげなく誘導し、君をレインと頻繁に会わせた。その際に「慈悲の涙」をめぐってシャリオット別邸から君はレインを連れ出し、そして恋仲になりました。  ・・・・ええ、結論から言うと彼もまたゲートをくぐるのを止めませんでした。  次にあの暗殺者であるトゥルニテと君は恋仲になりました。君の善性を知ったトゥルニテは君に借りを返すべく近くを護衛してくれるようになりました。ただ同時に、気配に鋭い彼は僕の気配に勘で気が付くこともあり、僕が君を見守ることは非常に難易度が高くなったものの、君のことをきっちり守ってくれてその点は非常に助かりました。  この周では、今の周の次に君と僕は仲が良かったです。相変わらず警戒心は持たれていましたが、この周から僕は兜をかぶることにしていたためです。けれどしばらくしたら声が原因で発覚した。君は僕の外見だけでなく、声も知っていた。それでもほかの周に比べたら発覚が遅れたこともあり、怯えの色はあったものの関係は深まりました。  けれどそんなある日、辺境に突如魔王幹部のシュンネペイアが襲来したのです。君のことを守っていたトゥルニテが攻撃を受け瀕死の状態に。君は彼を看病し、そうして聖水を入手するまで二人きりで過ごしていた。あれほど僕と親交を深めていたにも関わらず、君たちは恋仲になりました。はは、僕の時は聖水入手に相当手こずったのに、彼が倒れた時はまるで待っていたかのように聖水が簡単に手に入ったのです。かけられた聖水は彼の呪いを吸い、黒く染まりました。  そしてトゥルニテもまたゲートをくぐることをとめなかった。  どいつもこいつも、誰一人君を引き留めることをしなかった。あれだけ恵まれた立場を持っているにも関わらず。  僕には決して手に入らないものを持っておいて、憧れだの信頼だのそういう目を向けてきた。  そしてまた草原。  次に誰を引き合わせようとしたかというと…ああ、桃色の彼女でしたね。ごめんなさい、名前が思い出せないのです。  君が過去に恋仲になった面々を、僕は憎悪のあまり名前を憶えているのですが、君は女性とは恋仲になることはなかった。だから名前がどうでもよくて覚えられないのです。この周では誰とも恋仲にならなかった。  けれど、もう君を引き留めてくれる人間が誰もいないことが分かった。  試行錯誤して、よく分かった。  君の運命の相手は僕だったんだ。  やっぱり、他の人間ではだめだった!!!  その周では僕は君を攫いました。  途中まで良好な関係を築いていたはずですが、僕が力技に出ると裏切られたかのように怯えていました。  辺境から離れた小屋に君を閉じ込め、首輪をつけた。  死に怯える君は僕のキスを受け入れ、抵抗なく足も開いてくれました。  そこから何日も狂ったように僕たちは交わった。古いベッドは何度も軋み、互いの息遣いだけが唯一の音で、最初はぽろぽろと泣いていた君も揺さぶられるうちに、次第に諦めたような顔をしましたね。  けれど僕は生きていて一番の幸福を感じていた。やっと愛している人と交われたんだ、と。  君がゲートをくぐろうとするなら、閉じ込めてその手段を奪ってしまえばいい。つまり僕たちはこの部屋で永遠に一緒にいればいいんだ、と。料理をしては僕が君の口に運んで、それはもう幸せな空間でした。ただ一つ困ったのは、僕は君に愛を囁くことが出来なかったこと。「好きだ」「愛してる」というと口がはくはくと動くだけで何も伝えられなかった。けれどその分、君に子種を注ぐことで言葉の代わりに愛を伝えようとしました。  けれどそんな時間も突如終わりを告げます。  小屋の周辺に魔物が出た。僕は君との時間を確保するために剣を握り小屋を離れました。  全ての魔物を切り伏せ、小屋に戻りましたが、君はいませんでした。よく見ると小屋の周辺には動物の肝が沢山落ちていた。動物を解体することに長けている者。  こんな芸当が出来る人物は一人しか心当たりがありません。トゥルニテです。  彼は君の居場所を洗い出し、魔物を焚きつけてその隙に攫って行ったのです。けれど僕は焦りませんでした。だって、どこに逃げたとて僕よりも強い人間はいない。魔王もまたしかり。故に逃げ場などない。  ・・・・・いえ、ありましたね。ええ。ゲートです。トゥルニテは魔王を倒すと異空間が現れるということを知っており、君をゲートに逃がすことにしました。僕は怒りのあまりトゥルニテを瀕死にしましたが、しかし努力むなしく。  僕はまた草原にいました。この周が今の周ですね。ここに至るまで本当に長かった。  今度は兜もつけ、声も隠し、君に出会おう。  そしてそれも駄目ならさらに遠い場所に攫おう。  そして更にそれも駄目でゲートまで行く意思があるのなら、君の足の腱を切る。  しかしこの周では初手で異変が起こった。草原で女性の悲鳴が聞こえたのです。  レッドドラゴンの住処の方向。  どの周でもレッドドラゴンに近づこうとする愚か者はいなかったというのに、この周で初めて現れたのです。一応見に行くかと思い僕はのろのろと向かいました。  そこではレッドドラゴンの尾に胴体が直撃し、亡くなる君を目撃してしまったのです。  時間は遡る。どうして君がレッドドラゴンと戦闘を?君はレッドドラゴンの危険性を知っているからこそいつも慎重に動いていたのに、と疑問で一杯でした。  君の体に尾が吸い込まれる前にドラゴンの攻撃を止められ、君にはとどめを譲ることにしました。手元にダーインスレイヴがあるのが見えたからです。あの武器を構えているときの君は勝算があるとき。ならこれから先、少しでも君が死なないように、僕は助力したのです。この先守り切れないことも多いだろうから、経験を積んで欲しかった。  のちに知った話、此度の家賃は驚くことに1日目に来たそうです。今まで君の行動が微細にずれてきていたのは、家賃のタイミングのせいだった。金策を焦った君は強引にでも鉄の採取に踏み込んだ。そこで君は夕日の彼女と出会い、どの周の時よりも意欲的に帰ろうとしていた。  そしてレッドドラゴン討伐を起点に、僕が全然知らなかった物語が幕を開けたのでした。

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