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到着予定時刻まで、あと(後編)07  懺悔

 自分の上に乗ったままの彼に懺悔をするような面持ちで、僕は自分のしてきたことを告白する。  クラブでしたことも、そこで会話した結果、どんな風に人間関係が変化していったかネット上で追跡したことも、着実に彼女のことを追い詰めていたことも、武内との接点を持つために彼の生活リズムを粘着質に調べ上げたことも、全部白状した。  深刻な面持ちで語る僕に対して、彼はきょとんと目を丸くして戸惑いながらも黙ってそれを聞いていた。 「……だから、僕は全部分かってたんです。あなたが殺さなければ、僕が彼女を殺すつもりだったんです。僕がもう少しうまくやれば、もっとマシな終わりもあったはずなのに……ごめんなさい」  罪悪感のままに謝罪の言葉を口にし、黙り込む。これ以上は言い訳ばかりを並べてしまいそうだった。未練がましく言葉を連ねるより、潔く彼から裁かれるのを待ちたかった。  痛いほどの沈黙の中、武内はオロオロと戸惑うそぶりを見せた後、恐る恐る僕へと尋ねてきた。 「えっとつまり……あなたは俺のことが好きだったってこと?」 「……え?」 「だって今話を聞いて、どうしてそんなことをしたのかも知って、なんだか聞いてて恥ずかしくなるぐらい、俺のことが好きだからそうしたって言ってるようにしか聞こえなくて……」  もじもじと顔を半分覆いながら言う彼の頬は明らかに赤くなっており、それを愛しいと思う自分に遅れて気がつく。 「僕、あなたのことが好きだったんですか?」 「多分……? 俺が言うのも変な話だけど……」  戸惑いと照れくささで視線を彷徨わせる彼を見ているうちに、ついさっき自覚した愛しさが体の奥底から込み上げる。その熱は性欲へと変換され、彼の中に挿入されたままの陰茎が意思とは関係なく硬くなった。 「んっ……♡ えっと……今、中のものが、その……」 「……ごめんなさい、わざとじゃないんです、どうか上からどいてください」  早口で弁明し、自分から離れるように懇願する。彼は少し気まずそうに腰を上げると、小さく甘い声を上げながら己の内側から陰茎をゆっくりと抜いた。 「ンぅ……、て、手の拘束も解きますね……」 「は、はい……」  互いにどんな顔をして話せばいいのか分からず、拘束を解かれた僕と、着衣を軽く整えた彼は、少し離れた位置に座って向かい合う。 「……あの、お隣さん」 「はい……」 「俺のことを犯したいって、思ってたんだよね?」 「いや、それは……」 「違うの?」 「うっ、違わないけど……」  あけすけな言葉で自分の欲望を暴かれ、僕は穴があったら入りたい気分でボソボソと答える。 「そっか……」 「はい……」  思春期の若者のような気まずいやり取りに、早く話題を変えたいと思うも、今この瞬間にこの話をしておかなければならないということも分かっていて、何も言えなくなってしまう。  彼は挙動不審になる僕をチラチラと窺った後、意を決した様子でこちらに向き直った。 「あの!」 「は、はい!」 「……お、俺を抱いてくれませんか、お互いのために」 「えっ……!?」  声をひっくり返して驚く僕に、彼は真剣そのものの眼差しで迫ってくる。 「俺、あなたの気持ちに応えられるか分からないんです。あなたのこと何も知らないし、気持ちを信じられるか分からないし……でも、あなたに体を差し出せば、少なくとも裏切られることはないって安心できると思うんです、だから……」  躊躇いがちに告げられたのは、彼なりにこちらの感情に応えようと考えた末の結論だった。  体を差し出すことを代償に、彼は僕の協力を得る――ということにする。体の関係がないと信用してもらえないというのは寂しくもあったが、こちらがそれを拒絶する理由もなかった。  曇りかけた表情を取り繕い、彼に答えようとする。だが、彼は僕が口を開く直前に、気まずそうに付け加えてきた。 「その……それが理由なのは嘘じゃないんですけど、それだけじゃなくて……」 「え?」 「俺、セックスとか怖くて嫌なんですけど、あなたの気持ちを聞いて、あなたになら抱かれてもいいって思っちゃって、そしたら腹の奥が熱くなって、我慢できなくて……」  まるで悪いことをした子どもがそれを告白するかのような気まずそうなそぶりをしながら彼はそう言い、最後に僕の前までやってくると、僕の手をそっと取った。 「お願いします。今すぐ俺のことを抱いてください。俺もあなたのこと、愛せるように頑張るから」

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