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前向きダーリン×勘違いハニー(後編)05 確かな好意

 あわあわと付け加える彼の顔を、俺は唖然と見つめる。  記念に一緒に写真を撮りたい。  その辺の小学生の方がまだマセた返事をすると思うほどの純粋な答えに、俺の中で目の前の男への興味が高まってしまう。 「……本気で言ってるの? セックスしたいとか、束縛したいとか、そういうのを言っても許される場面だったんだよ、今の」 「むっ、そんなの許される場面なんてこの世にありませんよ! エッチとかそういうのは相手の同意が一番! ですから!」 「キモ。真面目ちゃんかよ」 「えー?」  へらへらと笑う男に釣られて、俺も少しだけ気分がマシになっていく。  色々な恋愛を経験してきたけど、俺にぴったりな相手はこういうバカだったのかも。こいつと恋人として生きていくのは、きっと楽しいと予感できる。  だけど、そんなことを思っても、俺は彼とそういう仲になるわけにはいけない。俺の恋人は全部不幸になってきた。毎回、今度こそ幸せになると思っては失敗してきたけど、今回はその挑戦もしたくない。  このバカで純粋で見ていて飽きない男が、俺のせいで不幸になるなんて絶対に嫌だ。俺の幸せを願ってくれた彼を不幸にするわけにはいかない。  こいつを『ダーリン』と呼べたら自分が幸せになれると分かっていても、その選択をする気にはならなかった。 「はぁ……結局、こういうのが本物の愛だったのかもね」 「え?」 「俺、お前に惚れちゃったかもってこと。ダーリンにするつもりはないけど」 「え、ええっ!?」  彼は声をひっくり返して驚き、シャベルを取り落とした。 「ほ、本気なんすか!? 俺なんてやめといた方がいいっすよ! 泥棒をダーリンにするとか正気じゃないっす!」 「だからダーリンにするつもりはないって……待って? 泥棒ってどういうこと?」  聞き捨てならないことを口走った彼を問い詰めると、彼は「あー」とか「うー」とか唸った後、観念したように肩を落とした。 「俺、お兄さんが俺を気絶させたあの家に、泥棒に入ろうとしてたんす。色々あって金に困ってて、名前だけ知ってる人の家の鍵を、偶然手に入れたから魔が差して……ホントすんません!」  うじうじと罪を告白した後、彼はその場に土下座した。俺は呆気にとられ、少しの間固まってから、ようやく我に返る。 「くくっ……何それ。お前みたいな単純バカが泥棒なんてできるわけないじゃん。家に人がいたらどうするつもりだったの?」 「えっ……殴って縛って、お金を盗もうかなと……」 「強盗は相当罪が重いんだよ。万が一、うっかり殺しちゃってたら、二度と刑務所から出られなかっただろうね」 「そうなんすか!? やっぱり悪いことはしちゃダメなんすね……」  しょんぼりと項垂れる彼の足元には、死体が埋められている。今まさに犯罪を行っているのに、他の犯罪をしなくて良かったと本気で思っているであろうその反応に、腹の底から可笑しさが込み上げた。 「はは、ふふふっ……お前、本当に面白いね。根っこはバカなのにクズで、だけど幸せになってほしいって願っちゃう。良い女を見つけて、そいつに幸せにしてもらいなよ」

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