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前向きダーリン×勘違いハニー(後編)06(終) ハッピーエンド
「えー? 俺、生まれてこの方、彼女なんていたことないっすよ!」
「……ホントに? 周りの連中は相当見る目がなかったんだね」
「もしかして褒めてくれてます?」
「それなりにね」
俺と付き合うことで不幸にしたくないと思った。彼に愛を抱いている自分がいても、その感情ゆえに身を引くべきだと思った。
だけどどうやら彼の人生もどん詰まりのようで、ここで手を離しても幸せになってくれる未来がうまく見えない。
だったらいっそ、不幸になる可能性が高いけれど、俺が彼を幸せにできたなら。
「ねぇ、お前」
「はい!」
「俺さぁ、さげまんなんだ。付き合う男、全員不幸にしてきたの」
「へぇ、お兄さんの彼氏になれるってだけで幸運だと思いますが」
「人間ってやつは、たとえ欲しいものを手に入れても、もっともっとって欲しがるものなんだよ。それで皆、破滅してきた。ろくな男じゃないんだよ、俺は」
今までのことを思い出して、少し暗い顔になってしまう。勝手に暴走して勝手に死んだ奴らでも、俺は確かに愛していたから。
「でもさ、そんな俺でも幸せになりたいって願っちゃうんだ。運命のダーリンと出会って、いつまでも幸せに暮らしたいって」
「お兄さん……」
「だから、さ。お前、俺の運命になってみる気はない? バカなお前の頭脳になって、人生逆転させてやるし、体だって、許してやるから。他にも望むものがあれば何だって……」
拒絶されるのが怖くて、思わず次々と条件を出してしまう。こういうところがダメなのだと分かっていても、不安な心はそうすることでしか宥められなかった。
彼はそんな俺の顔をじっと見つめた後、ゆっくり言葉を選んで答えた。
「お兄さん、本気なんすね?」
「……うん」
「だったら一個条件出してもいいっすか?」
ぴくりと自分の肩が僅かに震える。ろくでもない要求をされたらどうしよう。こいつも他の男と同じだったらどうしよう。
しかし、彼が口にしたのは俺の予想とは大きくズレたものだった。
「お兄さんも幸せになってください。俺は、お兄さんと恋人になれるなら幸せっすけど、お兄さんが幸せじゃないなら、俺はきっと悲しいから」
素朴な、だけど確かな優しさが込められたその言葉に、己の中の彼への好意が臨界点を突破する。
俺はつかつかと彼に歩み寄ると、彼の胸ぐらを掴んで強引にキスをした。
「っ……!? お兄さ、っ……!?」
「黙って」
驚いて離れようとする彼の顔をしっかり捕まえ、過剰なぐらいの愛を込めて深い口づけを交わす。数十秒かけてこちらの存在を塗り込めるようなキスを終え、彼をようやく解放する。彼はゆでだこのように真っ赤になっていた。
「これからよろしくね、ダーリン。俺、今度こそ幸せになってみせるから」
まだ名も知らぬ彼は赤面したまま、こくこくと何度も首を縦に振って俺に応えてくる。
絶対俺がこいつを幸せにする。俺は、前向きな決意とともに、彼のことをぎゅっと抱きしめた。
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