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勇者が死んだ(後編)13 治療行為
「傷、が……?」
朦朧とする意識でそう呟いたアレクの声が耳に届き、僕はハッと正気に戻る。
魔族の体液は魔力に満ちている。彼の傷口を舐ったことにより、僕の唾液がその内に含んでいる魔力で傷を癒やしたのだ。
「……アレクさま、ごめんなさいっ……」
「ヒーラー……? う、ぐぁっ……!」
傷の深いところを優先的に舐め、舌で唾液を傷口の断面に塗りつけていく。彼の血は口の中に入ってきたが、本能による高揚は理性でなんとか押さえ込んだ。
治癒魔法は使えない。だけど体液を介しての治療はできる。これは、彼を救うための治療行為なんだ。欲望に呑まれてなるものか。
血を飲み込んでしまうごとに体の芯が熱くなり、メインディッシュが欲しいと夜魔の本能が主張する。
うるさい。出てくるな。僕は今、大切な人を助けるために必死なんだ。
舌で舐めた部分は徐々に傷が塞がりつつある。腹の奥で燃え上がる熱を直視したくない。彼は獲物じゃない。本能のままに食らいつくなんて間違ってる。
「ん、むっ……ちゅ………、はっ、はぁっ……」
残っていた傷口の最後の一箇所まで舐め上げ、僕は俯いて肩で息をする。慣れない形での治癒を行った疲労もあったが、それ以上に己の中で爆発しそうなほど荒れ狂う欲望を我慢する苦痛の方が上だった。
「う……ヒーラー、終わった、のか……?」
傷口を抉られる痛みを与えられ続けたアレクの額には脂汗が滲んでおり、目元は生理的な涙で潤み、吐き出す息も熱っぽいものになっている。
だけど今にも死んでしまいそうな深い傷は既にその体にはなく――僕は、濁流のように押し寄せる衝動を我慢する理由を無くしてしまった。
「ぁ……アレク、さまぁ……♡」
「なっ……ん、んんーーっ……!」
不意を突いて、押しつけるように深い口づけを彼に与える。暴れる彼の体を押さえ込み、指一本自由に動かせないほどの快楽を口移しで刻み込む。
抵抗も虚しく僕の唾液を飲み下した彼は、やがて自分から舌を出して僕の与える快楽を受け入れ始めた。
「ん……んん、………んっ……♡」
いつも真面目に引き締まっている表情は、快楽に身を任せ、だらしなく蕩けていた。夜魔の持つ催淫能力に為す術もなく晒されているということに、本人はきっと気付いてすらいないだろう。
数分にも及ぶ口内への蹂躙の末、解放されたアレクは、まるで深酒で酩酊してしまっているかのようなぼんやりとした顔になっていた。
その変わり果てた姿が愛しくて、僕は何度も彼の顔にキスをしてしまう。その度に魅了の魔法が彼にかかり、彼の体はびくびくと細かく震えた。
「ふふ、アレクさま……アレクさまぁ……♡」
ずっと自由に呼びたかった彼の名を耳元で囁き、魔力の過剰摂取で意識が朦朧としている彼の体に、匂いをつける獣のようにすり寄る。
股ぐらに手を伸ばすと、彼の性器はしっかりと膨らんでいた。
下履きを剥ぎ取り、性器の本体に指を這わせる。
「アレクさま、はじめてですかぁ……?♡」
「へ、ぁ……えっ……?」
「この立派なおちんちんを、女の股に入れたことはあるかって、聞いてるんですよぉ……?♡」
妖精の歌声のように可憐な声色で尋ねると、アレクは一瞬で正気に戻って赤面した。
「うっ、な、ないっ……! そういう話とは、無縁な生活だったから、その、アっ、ああっ……♡」
「じゃあ僕が教えてあげますねぇ……♡ 死んじゃいたくなるほど気持ちよくなる方法、僕いっぱい知ってるんです……♡」
自分も下履きを脱ぎ、アレクの上に跨がると、既に完全に勃起している彼のモノに手を添えて、ゆっくりと己の中へと迎え入れる。
「あっ、ァ、ん……♡ き、たぁ……♡」
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