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勇者が死んだ(後編)17 すなおにおなり

「そういうことなら入れるが……くれぐれも無理だけはするんじゃないぞ?」 「しませんよ。……ぅ、アッ…かはっ……♡」  結腸の入口に乱暴なまでの圧力で怒張の先端が押し付けられ、無理矢理未開拓の場所をこじ開けられているという事実が、途方もない喜びとなって脳を駆け巡る、  痛みと苦しみで体はのけ反り、少しでも与えられる快楽を外に逃がそうとする。だけどアレクの力強い肉体に組み伏せられた体は、それ以上の抵抗を許されず、僕はただ目を見開き、口を開けて必死で息をしようとした。  奥底を破りそうなほどの遠慮のない力で最奥は押しつぶされ続け――やがてある瞬間に、ぐぽんっという感触と共にアレクの陰茎は結腸の内側へと侵入を果たした。 「ハッ、はぁっ……あはっ、入り、ましたね……♡」 「あ、ああ。……大丈夫か? 顔色が悪いように見えるが……」 「気にしないでください。これぐらい、普通なんです……」 息を整えながらも、声に幻惑の魔力を込めてアレクを誤魔化す。アレクは物言いたげに沈黙した後、僕の足を抱えてこちらを覗き込んできた。 「性交について俺は素人だ。お前の望むように動きたい」 「そんなの、気にしなくていいんですよ。どうぞ、好きにお使いください」 「だが、そんなこと、俺はっ……」 「できないのなら、おまじないをしてあげますから」  ここまで来て臆病な態度を取るアレクに、僕は震える指を持ち上げて彼の額の中央を指し示す。  彼自身の意思で抱かれたい。でも、最後の一押しが必要なら助けてあげよう。一刻も早く、僕は彼に精を叩きつけられたいんだから。  抱かれたいという正気と組み伏せられたいという欲望が入り混じり、夜魔としての本能が知っていたささやかな呪文を、舌の上で転がすように口にする。 『すなおにおなり』  対象の欲望を増幅させ、己に正直になるよう促すほんのおまじない程度の魔法。だがそれはアレクの思考に覿面に作用した。  それまで自制心で押さえ込んでいた筋力が彼の体にみなぎり、足を掴んでいる指先が跡が残るほど力強く僕の肌に食い込む。 「ンッ……♡ アレク、さまぁ……♡」 「ハァッ、ハァッ……だめだ、優しくしないと、ヒーラーっ……!」 「いいんですよ。今のあなたは悪い魔族に誑かされているんです。思うままに動いても誰にも責められ――あぁっ、あ“っ、ぎっ♡ はぁっ、アァっ……!♡」  揺らぐ意識に纏わりつくように甘い声をかけると、アレクは唐突に全てのタガが外れたのか、まるで野獣のような激しさで僕に腰を打ちつけはじめた。 「あ”、ぅあ“♡ おっ、ぎっ、ひぁっ♡」 「ヒーラー、ヒーラーっ……! こんなことしたくない、我慢できない、俺はっ……!」 「アレク、さまっ♡ ぐ、かはっ、ギッ♡くるしっ、ひ、ぅぐっ♡♡」  想定よりも激しく最奥の先を穿たれ、ほとんど悲鳴のような声を上げて乱れ狂う。  このままでは死んでしまうと体は叫び、だけどその苦しみが心地よいと心が歓喜する。 「すまない、ヒーラーっ……出す、出すぞっ……!」 「ぅ、あぁっ♡ あ“っ、あはっ、はっ♡ ぎ、あぁぁ〜〜〜っ……!♡♡」  奥底に欲望をぶちまけられ、まるで心の欠けていた部分にそれが流れ込むように幸せが満ちていく。 「え、へへ……ふふ、うれしい……アレクさまぁ……」  全身を脱力させ、好意の余韻に浸る。終わってしまった。最後にいい思い出ができた。この先どんな未来が待ち受けていても、今日のことを思い出せば生きていける気がする。  だが喜びと悲しみが入り混じった顔をして呆けている僕の体を、彼は何故か抱え直した。 「すまない、本当にっ……次は優しくするから、次はっ……」 「え……アレクさま……?」  ギラギラとした眼差しでこちらを射抜いてくるアレクの表情は、すっかり正気を失っているように見えた。  殺意にも似た気迫で僕の体を喰らい尽くそうとしている愛しい人の姿に、本来の彼を捻じ曲げていることへの申し訳なさをかすかに覚えつつも、興奮と喜びのままに腕を広げてしまう。 「はい、アレクさま。存分に犯してください」

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