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🎼Extra Lesson《君を見つけた日5》◆
「そんでぇ感受性豊かな美少年の仁くんはぁ……」
「ま、待った!」
「ンだよ……いいとこなのに」
「え、ぇ、っ……うそ……あの子、仁だったの……!」
ぽちゃん、と雫が湯船に落ちる。
仁の昔話に付き合っていた奏は、聞いているうちに少年・仁と同じくらい真っ赤になっていた。
当の成長済み仁はというと、ニヤニヤと口元を緩めて後ろから奏の顔を覗き込んでいる。
「俺の初恋の話、どうだった?」
「……っ……悪趣味」
「何でだよ、可愛いだろ?」
複雑そうな顔をした奏がじとりと横目で睨め付ける。その様子すら愛おしいとばかり、仁は茹だった奏の頬に唇を寄せた。
「言ってくれればよかったのに……!」
「だからさ、最初のとき『見つけた』って言っただろ?」
「あれはっ……! 一年前の試験の話だと、っ……思うだろ、普通……」
初めて仁が奏に声をかけた日。掲示板の前で出会ったあの日を思い出す。確かに仁は「見つけた」と言ったけれど、まさか十数年越しの言葉だとは。
「……これで分かった? 俺が奏を手放すなんてありえない」
「でも、」
「でもじゃねえよ。ずっと探してたんだからな。やっと見つけたんだ……やっと捕まえた」
湯船が小さく揺れる。未だに反論を口にしようとする奏を仁が後ろから強く抱き締めた。
奏はそれ以上、何も言えなかった。
胸の奥が熱くて、苦しくて、嬉しくて。
「……ずるいよ」
ぽつり、と零れた声に仁が笑う。
「何が?」
「そんな話されたら……もう、一生勝てない」
「はははっ! 何だそれ、勝ち負けの話じゃねえだろ」
「だって……」
言葉が続かない。
どうにかこの体を震わせる喜びを、この胸のうちに湧き立つ愛おしさを、丸ごと全部伝える術はないだろうか。
奏は振り返って熱を孕んだ瞳で仁を見上げた。そして、ぎこちない動きで仁の唇を食む。
奏からの初めてのキスだった。
「見つけてくれて、……ありがと」
浴室に反響する声は思ったよりも震えていた。泣き出しそうな奏の顔に、今まで緩んでいた仁の表情が引き締まる。
思わず、色付く小さな唇へ自分の唇を重ねた。
「泣くなよ」
「泣いてない。……けど男だって泣いていいんでしょ?」
「……俺の前でだけ、な」
一度浮いた唇が再び触れ、そのまま喰らい付くように深く重なった。
ちゅ、ちゅぱ、と濡れた音がいつもより奏の鼓膜を震わせる。口内を愛撫するようにねっとりと絡む仁の舌を受け入れるだけで精一杯だ。
そのうち仁の大きな手が奏の肌をするすると這い始める。剥き出しの内腿、浮き出た腰骨、薄い腹を経て淡く色付く小さな突起へ辿り着く頃、浴室は奏の甘い吐息で満ちていた。
「ん、っ、ンぅ、は……ぁ、ン……っ」
「あー可愛い……やっぱ紳士じゃいられねえかも」
「ばか……ここじゃやだ、ベッド──んッ!」
続くはずだった言葉は仁の口内に消えていく。物理的に口を塞がれたのだと奏が気付いた時には、既に仁の舌が奏の上顎をぬるぬると撫でていた。それに倣って指先が乳首へと伸びる。
控えめな尖りを爪の先で甘く掻き、指の腹で転がすとぷっくりと主張してアーモンドの花のように色濃くなる。
「ッぁ、あ、っ、ン……はぁ……やだ、ぁッ、そこ、変になる……っ」
「んー? どんな風に?」
「わ、かんな……ッひぁ」
「変じゃなくて気持ちいい、だろ? ほら、言ってみろ」
一度は体を重ねたはずの奏の、まだまだ初心な反応に仁は喉の奥で笑った。浮力を借りて細い体を持ち上げ、易々と向かい合わせに膝の上に招き上げる。
いやいやと濡れた髪を振って拒む奏の肌に、愉しげに口角の上がった仁の唇が滑っていく。
白い首筋から慎ましやかな喉仏を下って細い鎖骨へ移っていく度、その途に赤い華が独占欲の表れとして浮かび上がった。そして遂に唇が乳首へと到達する。
「ッひゃ、ぁう!?」
指先で弄ばれたそこは、もう既に充分に張り詰めて充血している。仁の舌が容赦なく、ぐに、と押し潰すと奏の喉から細く高い嬌声が漏れた。
「ぁッ……ぁ、あ、ッん! や、だぁ……そこ、きもちぃ、っ、きもちい、から…っ」
教えた通りに「気持ちいい」と口にする愛らしさと、何を教えても受け入れてしまうのではないかという危うさに仁はぐらり、と揺れた。それでも健気に尖り仁の舌を押し返す乳首を愛でることは忘れず、「可愛い……」と吐息混じりに感嘆の声をこぼす。
「奏、暴れんなよ?」
「ぁ、ッあ、っ、ぁン、ぅ、な、に…っ……」
快感に抗えず、また、逃す術もまだ知らない奏の下肢の中心では胸への戯れだけで屹立がふるふると震えている。それを一瞥した仁の湿度の高い声音に〝かたち〟を視る余裕などなく、奏は訳も分からずこくこくと頷いた。
「わぁッ……!?」
ざば、と湯を切る音と共に奏の体が持ち上がる。目を白黒させている間に仁の手によって立たされた奏は、蹌踉めく体を支えようと壁に手をついた。湯の中から見上げてくる仁の瞳が飢えた獣のようで、ぞわぞわぞわ、と背骨を伝って脳天まで甘い痺れが駆け抜ける。
「っ……ふ、ぁ、あんまり見ないで……」
「何で? 見るに決まってるだろ。俺の可愛い奏だぞ」
「ばか……」
咄嗟に顔を背ける奏の横顔が真っ赤だ。
すすす、と湯の中を滑るように移動し、仁の愉悦に満ちた唇が奏の柔い太腿に触れる。そこにも赤い華は咲く。びく、と跳ねた奏の喉から小さな悲鳴が漏れた。
「ぁ……っ!? 何する……ッまさか、ちょ、待っ……やあぁっ」
唇が辿る先に気付いた奏が声を上げるより早く、奏の屹立が仁の口腔内に引き摺り込まれる。
熱くて、ぬるぬるしてて、腰が抜けて崩れ落ちてしまいそうな堪らない快感──。
喉を仰け反らせて惜しみなく嬌声を浴室に満たす奏に、仁は黙してただただ奏自身を愛で続ける。
指先で陰嚢を転がし裏筋を舌先で辿る。唇で幹を扱き頬の内側に先端を擦り付け、震える鈴口に吸い付いて淫らな音を奏の声と混ぜ合わせれば、呆気なく奏の腰が大きく跳ねた。
「ぁっ、あぁッ、ひ、ぁンんッ! やだ、ッやだぁ……っ! ンッ……あぁァッ!」
ガクガクと痙攣する内腿が艶かしく、仁の興奮を煽る。
仁の喉仏が上下に動き、口内に放ったものを飲み下したのだと気付いた奏は昏倒しそうなほどの羞恥を覚えた。けれど酸素を懸命に取り込もうとする唇からは文句が出る余裕はなく、尚且つ立っている余裕すらない。
「ッはあ……はー……はぁ……ッん、ぅ……も、無理ぃ……腰、抜ける……っ」
「ん、おいで……ごめんな、無理させた? けど……もっかい謝っとく。まだ全ッ然足りねえから、俺」
再び奏を膝の上に抱き上げてくれる腕も甘やかす声も優しいのに、仁の瞳だけが場違いなほどギラついていた。その眼差しに射抜かれて、きゅん、と鳴るのは心臓──ではなく、仁のものを受け入れた記憶がまだ鮮明な下腹部だった。
「……っ……なんか、おなか……へん。きゅうってなる……」
「ふは、可愛い……きゅうってなんの? じゃ、俺が確かめてあげよっか」
ちゃぷ、と揺れる湯の中で仁の腕が奏の腰を抱く。そのまま長い指は柔らかな双丘の間を滑って隠された秘部へと辿り着く。
とんとん、と指の腹で優しく叩かれてむず痒いような感覚が大きくなる頃、ゆっくりと指先が奏の体の中へ沈んでいった。
「んっ……ふ……ぁ、あっ、あ、ッ、ゆび、ごつごつしてる……っ」
「うん。奏の悦いとこ見つけてとんとんしてやるから」
「は、ッぁ、ン、仁、っ、仁も、一緒ぉ……っ」
「ん……俺は奏の中でイきたいから。もうちょい我慢。……な?」
宣言通り、すぐにふっくらとした丘を見つけた仁の指が、まるでピアノを弾くかのようにしこりを掻く。茹だりそうな熱が腹の奥から落ちてくる感覚は、奏にとって未知ではないが慣れているものでもない。
爪先が跳ねる度にぐずるように甘えた声が奏の喉から溢れ出る。宥める仁の声は相変わらず優しい。けれど僅かに声が低く、眉間には皺が刻まれている。理性を総動員させて万に一つでも奏を傷付けないように必死な仁の心中を知ってか知らずか、唐突に奏が腰を持ち上げた。いつの間にか数本に増えていた指が強制的に抜かれる。
「……? 奏? どうした、どこか痛めたか? それとものぼせ──」
「も、早く……シよ? ね、もういいでしょ……ここ……おなか、仁のでとんとんしてぇ……」
怪訝そうに視線を上げた仁の視線の先で、心配を吹き飛ばすほど淫らに蕩け切った奏が見下ろしていた。
自分の薄い腹を両手で撫でる細い指も、跳ねて滴る雫の先の淡い乳首も、湯の中から辛うじて顔を出して震えている屹立も──仁の理性を焼き切るには十分すぎるほどだった。
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