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第11話
結局、美濃はあのあと病室には戻ってこなかった。きっとたんまり看護師に叱られたあと、すごすごと学校に戻ったのだろう。俺は美濃が用意してくれたプリントのコピーを使って、満足いくまで哲也くんと勉強することができた。夕飯には自分でつくった弁当を彼の枕もとで食べて、明日はどんなおかずをいれようかな、って彼に相談してみた。
病院からはバスと電車を乗り継いで帰ってくる。家につくまでは哲也くんと病院で過ごしたことを思い出しながら今日もたのしかったなぁと笑っていられて、自宅についてもしばらくのあいだは、明日病院に出かけることを楽しみにしていられるんだ。お母さんやお父さんとたわいない話をしたりなんかしてね。
でも寝る準備を終えて静かな自分の部屋に足を踏み入れてひとりきりになると、とたんに心細くてたまらなくなった。まぁそうなるんだろうってわかってはいたんだけどね。
(怖いよ)
明日、俺は学校に行かなきゃなんない。あいつらに好き勝手なことを云われて、乱暴されるために。
なんで? なんで俺だけがこんな目にあわなきゃいけないんだろう。なんで大事なはずの自分を、自分であんなやつらに差しだすようなことをしないといけないんだろう。
「いやだな。行きたくないよ」
でも行かないと、もっとひどい目に遭うにちがいないんだ。
「怖いよ……」
本当にもう死んだほうがマシなのかもしれない。心から精気が、身体から力がどんどん抜けていく。床に膝をついて上体をベッドにつっぷすと、ぎゅっとシャツの胸もとをにぎりしめた。
ほらみろ。胸が押しつぶされそうだ。俺はじわりと湧いた涙を布団になすりつけた。
「…………ん?」
胸が押しつぶされ……、って、……え?。
「んん? んんん?」
(な、なんか、あれ?)
素肌にくすぐったさを感じて、ぎゅっと胸を押さえつける。それはまるで服の中に虫でも潜りこんだのかというような感覚で、俺は胸の周りをうろうろする擽ったさを止めるべく、押さえつけるようにしてあちこちと手を移動させた。
「ひゃっ⁉」
(う、うそっ? もしかしてゴキブリ⁉)
「うそっ、うそうそうそっ、ひゃっ! ってこれっ、えっ⁉」
(ちっがーう! これ、虫なんかじゃない‼)
俺はびくんと胸を竦 ませた。なにかが、いや、誰かが俺の胸をいじってるぅぅぅっ!
「で、でたぁぁぁぁぁぁあんっ、やんっ」
(今日も出た出た色情霊でたっ! エッチなドスケベ幽霊がでたぁぁぁっ)
幽霊には俺の置かれている事情なんて、関係ない。俺がこんなにも明日を憂いて涙まで浮かべているというのに、それにはまったくのお構いなしだ。しかも今日の幽霊はやたらと俺の乳首に固執していた。
「ひゃんっ、や、やめてっ、そこっ」
左右いっぺんに、くりくりと抓 られ、弄 られる。
俺はなんとかその手? から逃れようとびたっと布団に胸を押しつけてみたが、やっぱり幽霊に空間は関係ないらしい。ないはずのベッドと胸との隙間に確実に幽霊の手? が存在して、俺の胸のさきっぽをグリグリ、こねこね、つねっつねっとするのだ。
「あ、ああぁ」
そんなところはまだ自分でもそんなふうに触ったことがないのに、またしても俺のはじめてを幽霊がかっさらった。そしてそのはじめての感覚が、たまらなく気持ちよくって―。
「あぁ、あぁ……」
とくに右。右がいい。さきっぽの割れ目をほじくるようにして爪さき? でくいっとされると、じわんとそこからエッチな成分が身体中にひろがっていく。足さきで折り返した快感は、足裏をひっかくように俺の皮膚をじりじりといたぶった。たまらなくって足の指をぎゅううっっとまるめて、溢れた唾液をゴクッと飲みくだす。
「ぅんっ」
勃ってしまった股間のものに押しかえされて、腰がベッドのふちから浮いていく。無防備に突きだすかたちになったお尻が快感でぷるぷる震えていた。
「ひゃんっ、やっやっ」
(もうだめっ、我慢できないっ)
俺は震える手をウエストまでもってくると、力のはいらない指さきで掻くようにして必死にズボンを脱いだ。そのあいだも胸をいじる幽霊の手はとまらない。
(脱げないぃっ、パンツ、脱げないぃっ)
うまくできなくて、涙が滲む。もういいや、と下着の上から張りつめるそれを握ると、「はぅん」と甘ったれた声がでた。すると俺の声に興奮したらしい幽霊がぎゅうっと乳首を引っ張った。
「あっ、あああんっ、ばかっ、そんなにした、らっ、いたっ、いたいっ、気持ちいいけど痛いんだって!」
胸のさきも自分で擦りあげるソレも、どちらもさきっぽが熔けてしまいそうなほど気持ちいい。あとは、あれだ。アレが足りない。あの、お尻の奥にぎゅんぎゅんくるやつ。
俺はあれがあればいいと思った。そしたら、身体は幽霊にお尻を攻められたときのあの快感をすっかり記憶していたようで、じきに例のあの場所がぎゅんぎゅん収縮してきたのだ。
(これ、気持ちいいんだよ、好きぃっ)
それに呼応するようにお尻の入り口もひくひくとわななく。俺のお尻は、中を埋めてほしいって、ぎゅっとナニかを締めつけたいって、きゅんきゅんと震えはじめた。あぁ、俺のお尻、なんてはしたないお尻になってしまったんだ。
下着を擦りたてる音、身体を弾ませるたびに波打つシーツの音、荒い呼吸に、唾液をすする音。どんどん、どんどん身体が熱くなっていく。卑猥にいじくりまわされる乳首もたまらない。いっぱいまで反り返った俺の勃起はもう爆 ぜる寸前だ。でも足りないんだ、気が狂いそう。
「やっ、んんーっ!」
(欲しい、欲しい、欲しい! ぎゅんぎゅんだけじゃ足りない。突かれたい、突かれたい、突かれたい! 突かれながらイきたいっ)
俺は片方の手を股のあいだに移動させると下着の隙間から指をさしいれた。そっと割れ目に添わせて奥へやると入り口を探りだす。おそるおそる触れてみるとひくひくしていた粘膜が指さきを吸うようにしてきた。
(どうしよう。挿れちゃう? でも怖いぃ)
とまどった俺はオレンジ色の薄暗い室内のなか、きょろきょろと視線をさまよわした。すると俺の気が反れたことに幽霊は怒ったのだろうか。乳首と乳輪をいっしょくたに揉みしだくようにして、グリグリグリグリッと勢いをつけてきた。
「ああああああーっ、待って待って待てーっ、乳首ストーップ」
俺は放出しそうになった自分のモノをぎゅっと握りこむと、ふぐふぐ息を継ぎながら身体をちいさく丸めた。
(あ、危なかった。出そうになったじゃないかっ。だから俺はナカをグイグイされながら出したいんだぁぁっ)
「ねぇ、聞いてっ! 胸、やめてっ、でちゃうからっ、でちゃダメだからっ! グリグリグリグリしないでってばっ、俺、お尻でイきたいんだからぁっ」
あ、しまった。
余計なこと叫んじゃった、と思った刹那。
「やっ⁉ やあぁぁんっ、は、挿 いってくるぅ~っ!」
なんと幽霊が俺のリクエストを聞いてくれたのだ。そんなことってほんとにあるの?
「ふあぁぁあんっっ」
たぶん実際にはなにも挿ってはきてはいないんだろうけど、俺にはお尻の入り口から入ってきた太いナニかが奥へ奥へと、ズブズブズブッと埋めこまれていくような体感がちゃんとあって―。
(……あ、でちゃった)
それこそリンスボトルのノズルを押したみたいにして、俺は幽霊にお×ん×んを挿れられると同時に、ピュルルルッと簡単に果 ててしまった。
ゼィゼィゼィ。
ハァハァハァハァ。
「ちょっ―、ちょっとっ」
ぐったりしぼんだムスコから手をはなし、ベッドのへりにしがみついて息を弾ませる。達成感と爽快感と疲労感でいっぱいだ。いつもなら、オナニーでイったらこれで終わりなんだけど―。
でも幽霊はまだ俺の胸をまさぐりつづけ、お尻をズコズコやっていた。ちょっと休みたい。それにイったばかりで敏感になっている胸を触られるのはつらすぎる。
「まってっ、ちょっと……ハァ、ハァ、まっ、てっ、てっ! 胸っ、痛いっ痛いっ、ゼィ、ハァ、……くすぐったいぃぃっっ、はぁはぁはぁ、ああんっ……やんっ」
お尻はズンズン攻められていて、蕩けそうなほど気持ちよくて。なのに胸が不快で集中できないじゃないかっ。俺は息も絶え絶えに、「触んないで」と、掴めない幽霊の手を振り払おうとやっきになった。
(キィィィッ、掴めないっっ!)
「手ぇ放せってっ、ちょっとっ、……休ませてっ。あぁ、はぁ。ああんっ。……しんどいっ、息っ、できないっ、酸素っ、酸素っ! あんっ、あんっ」
(く、苦しいっ。落着いて呼吸がしたぁいぃぃっ。どエロ幽霊のばかっ!)
「胸、ストップ! やめてっ!」
懸命に訴えているのに、まったく聞きいれようとしないバカ幽霊に、俺はついにキレた。
「死んじゃうっ、死んじゃうっ! ……おっ、俺まで幽霊になっちゃうじゃないかっ‼」
思った以上に大きな声がでて自分自身でもびっくりしたが、やっと幽霊の動きがぴたりと止んだ。
「はぁはぁはぁ……」
(よかった。やっとおとなしくなってくれた。お父さんとお母さんが起きてこなければいいんだけど)
俺は呼吸を整えながら、階下に耳をすませた。家のなかはしんとしていた。
「はぁはぁはぁ、……ぅうんつ」
もじもじもじ。
「はぁはぁはぁ……、はぅんっ」
もじもじもじもじ。
内腿をこすりあわせお尻をくねらせる俺の下着のなかから、ヌチャ、ネチャとねばっこい水音がしている。しかもあそこが気持ちよくてぎゅんぎゅんするので、腰はときおりひきつけている。
ひりつく乳首を防御するように両手で押さえつけた俺は、苛立ちながらシーツに額をこすりつけた。
クッソ。だから幽霊なんか、大嫌いなんだ。幽霊って恨みつらみのかたまりって云うけど、生前本当にロクな人生送ってこなかったんだ。いや、人生って云ったら語弊がある。云いなおそう。ロクな人間じゃなかったんだ!
きっと我儘で欲が深くて鈍くてズルくて……、そんでもって自分は正しいのに世間が冷たいって逆恨みすぎて成仏し損ねて。死んでまでもひとに迷惑かけて―。
云ってやる。世間が悪いんじゃない、てめぇが最低なんだっ! もっと他人の話を聞けっ、もっと他人の気持ちをよめっ! 他人を労われ!
「バカバカバカッ! 俺は胸を触るなって云ったんだっ! だれがお尻つくのやめろって云ったよ! はやくっ、はやく、動けぇぇっ!」
癇癪を起した俺がお尻を揺すりながら叫ぶと、しずしずとまた身体のなかにナニかがはいってくる感覚がした。
(やっときた……)
ズプズプと遠慮ぎみに挿ってきたソレに、背筋にそってぞわりと肌がそそける。
背中を反らした俺の鼻から「はぁんっ」と甘ったれた声が抜けていった。うん、うん。はぁ、気持ちいい―……。
それから俺は、
「うんっ、うんっ、あんっ、ああんっ」
「ああん、ああんっ、ああんっ」
「イっちゃうっ、イっちゃうっ、もぅイっちゃぅぅっ」
自分で股間を揉みしだきながら幽霊にいっぱい後ろを気持ちよくしてもらい、心ゆくまで愉 しんだ。
そしてこの夜、怖い顔や血みどろの姿さえ見えなければ幽霊とするエッチは最高だと俺は思った。
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