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第5話 陽一サイド<唇のデザート>

バラはすでに植栽を済ませていた。 グランドオープンまでに、一日でも早く枝葉を大きく育てないといけない。 特に壁面を美しく彩るため、生家の前の壁を利用して、ガーデン側にはみっちりとつるバラが這わせてある。 中央には水を通すせせらぎのような小川のルートが作られ、その両サイドには華やかなボーダーガーデンにする予定。 宿根草は大きくする為、最初に植えられていた。 日陰を好む植物たちは、奥の蔵や井戸の近くへと丁寧に植え分けられた。 壁に面した奥の方は盛り土をして高さを出し、クリスマスローズが植えられている。 ベゴニアガーデンにする20畳ほどの温室も蔵の横に出来ている。 想像するだけで、もう楽しみで胸がいっぱいになる。 ガーデンと並行して、2階建て6室のホテル棟の外観は出来上がり、今は内装をやっている段階。 室内に入れる家具や、バルコニーに置くテーブルや椅子も全部注文済だ。 ホテルの管理小屋もすでに出来ている。 外観のデザインがかわいいよ。 財団の要となる7階建てのビルは、地下を大きく掘り下げた後は、2階~3階部分までは骨組みを建てた状態だ。 譲ってもらった道向かいの土地に、寮となるビルも同時に建設が進んでおり、 こちらはすでに3階まで建ち上がっている。 これが先に必要だろうと急いでくれたんだよね。 別棟の美容サロンは、ホテルが出来た後の工程になるらしい。 それ以外は、財団ビルに隣接するカフェやショップ、そしてゲスト用のトイレ棟を残すのみだ。 大型トラックがひっきりなしに出入りするため、今はしっかりと作業スペースの確保を優先している。 カフェやショップは、オープンのおよそ1年前に形になっていれば十分間に合うだろう。 ……さて、ハード面の準備は着々と進んでいるけれど、 問題は――やっぱり「人材」の確保だよなあ。 まだオープンまであと2年近くあるんだ。 生家の整理が完全に終わったら、すぐ細かい事業計画を練らないといけない。 2年後だと、里奈ちゃんも陽菜ちゃんも高校を卒業している。 進学するのかなあ? その辺の希望も聞いてみないといけない。 あと、義妹の紗奈と香菜だよね。 そうだ、颯太に聞いてみよう。 「ねえ、財団の仕事に紗奈や香菜を入れるでしょう?そろそろ連れて来て、希望を聞いてみたら?」 「あ、そうだった、ちょっとメールするよ」スマホでちょこちょこと送信していた。 5分もしないうちに返事が来た。 「あのね。学校が終わったら、二人とも来るってさ」 「それとさ、そろそろ人材確保の心配をしようよ」 「そうだね。でも早すぎない?庭仕事なら、すぐ採用してもいいけどさ。建物は先だもん」 「いいんだよ。予約で決めて行けばいいんだよ。向こうも計画を立てやすいでしょう?」 「じゃあ、広報と相談しようか?」 ちょっと颯太がかわいい目で、俺を見つめたまま首を傾げた。 ああ__俺はこれにやられる……。 「しばらくはリモートでもいいんだよね。往復の時間が勿体ないからさ」 聞いているのか聞いていないの? 上の空の颯太が視線をずっと俺に向けている。 「ちょっとそっちに行きたい」 それ今関係ないんですけど__また、甘えん坊颯太全開。 「じゃあ、おいで」 両手を差し出すと、座ってる俺の膝に向かい合わせに座り、両手を俺の首に回した。 顔が近いのに可愛い目で見つめられた。 「どうしたいの?」 ぶちゅーっと唇をとんがらせた。 「ふふ、もう~これってデザートなの?」 「うん」  可愛い颯太の唇をちゅっちゅっと軽く触れて食べてやった。 颯太が照れて上目遣いで俺を見つめた。 「もっと欲しい?」 今度は返事をしないで、熱っぽい視線のまま吐息を漏らして、それが俺の耳元にかかった。 少しぶるっと身震いをした。 わざと耳元に吹きかけたな。 颯太はそのまま肩に顔を埋めた。 「ちょっとだけだよ」 そう言いながら、そのまま抱いて寝室に行った。 ベッドにそっと横たえる確信犯。 「悪いヤツだ……」 声を漏らすと、くすっと笑って両手を俺の背中に回した。 熱い口づけを交わす。 チュッチュッとリップ音が鳴る。 颯太が熱い息を漏らし、すごく欲しがっている。 首筋に口づけを降ろしていきながら、胸元のボタンは外していく。 脱がせたら、俺も脱いだ。 素肌の胸がぴったりと合わさった。 「これでいいの?オレを襲ってる?」 「ううん……先生が俺を襲っているの」 もう~、ちょっと口もとが緩んだ。 「誘ったのは誰だっけ?」 「‥‥‥オレ」 目をつぶったまま微笑んでいる。 もうきりがない。 キスの雨を降らし__颯太を満足させてあげた。 まあ……いや、お互い様か。

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