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第6話 陽一サイド<紗奈と香菜>
立花紗奈と香菜は、颯太のお父さんの再婚相手の子供だ。
立花家に養子に入った俺にとっても義妹になる。
紗奈は大学の3年で、将来は社会福祉士を目指している。
香菜は大学1年。保母と幼稚園教諭の両方の資格が取れる大学だ。
颯太はミツワの1.2兆円企業の株式を10%相続したから、毎年莫大な配当金が入る。
恐らく40億くらいだろう。
ミツワ未来財団は、颯太の3年分の配当金を基金にして、その運用益で運営しようというものだ。
紗奈と香菜、そして特別支援教育を専攻して学芸大学に通っている碧人君と合わせれば、財団のスタッフとしてありがたい戦力になる。
夕方、学校が終わったら来てくれるように彼女たちに連絡した。
会うのは本当に久しぶりだ。
由紀さんに夕飯をお願いし、リビングで待つことにした。
夕方になると、外でにぎやかな声が聞こえて来た。
「すご~い! なあに、これ?」弾むような香菜の声だ。
すぐチャイムが鳴る。
「こんにちは、お邪魔します。すごくきれいだねえ」続いて紗奈の落ち着いた声が響く。
颯太と俺と小林さん、家政婦さん達も一緒に玄関で迎える。
「そう? 昨日引っ越してきたばかりだから、中を見学したら?」と俺が声をかけた。
「うん、そうする!」二人は珍しそうにきょろきょろと辺りを見回している。
「いらっしゃいませ」と小林さんや家政婦さん達がにこやかに並んでいる。
碧人君、里奈ちゃん、陽菜ちゃんも奥から出てきたから紹介した。
「初めて会うんだよね?」
「はい」
「颯太のお父さんが再婚した奥さんの子供だから、俺や颯太の義妹になるんだよ」
「へえ~そうなんですか」と碧人君。
「あれ? なんでこんなに若い人がいっぱいいるの?」と香菜が首をかしげる。
「あのね、皆事情があって、うちで預かってて一緒に住んでるんだよ」と颯太。
「へえ~そうなんだ。合宿だね」香菜がそう言うと、皆でくすっと笑った。
「颯太、家中を案内してあげたら?」
「うん、そうだね。おいで」颯太が二人を連れて家中を見せに行った。
「さあ、お夕食にしましょうか? 今日は手巻き寿司にしました」と由紀さん。
お吸い物にサラダもある。
そして席についてお茶を飲んでいると、颯太たちが戻って来た。
「なんか、陽一兄さん達の部屋は凄いねえ~。まるでイタリアじゃん」と紗奈が目を輝かせる。
ふふ、と俺はちょっと照れくさくなった。
「イタリアって感じが出てた? まあ、まずはご飯を食べようよ」
「はーい!」食事中は学校のことなど、いろいろと楽しく話した。
「紗奈は社会福祉士を取る予定だし、香菜は保母の資格と幼稚園教諭の二つの資格が取れる大学に行ってるんだよね」
「うん、そう。だって陽一兄さんが薦めたんでしょう?」と、紗奈が少しからかうような目を向けてくる。
「そうだよ、結果的にすごく合ってるだろ?」
「まだ分かんないもん。でも子供は可愛いけどね。
私はお遊戯がめっちゃ上手になったんだよ」と香菜が胸を張る。
何だか想像できないけれど、食卓の皆はクスクスと和やかな笑い声をあげていた。
和らいだ空気のなか、俺は話を少し本題へと向けた。
「碧人君は特別支援教育専攻で学芸大に行ってるからさ。
財団では皆の力を合わせれば、大きな力になると思うんだよね」と俺。
「え? そうなの。なんだろう? 財団の話なんてまだ聞いてないな」と紗奈が小首を傾げた。
「紗奈、あとでゆっくり説明するよ。それとね、里奈ちゃんと陽菜ちゃんもだ。
将来、大学や専門学校に行きたくなったら、ちゃんと奨学金があるから行けるよ。安心してね」
「はい、ありがとうございます」と里奈ちゃんが丁寧に頭を下げる。
でも、隣にいた陽菜ちゃんだけがちょっと不安そうな、複雑な表情を浮かべた。
「あれ? そんなのあったの?」と、当主であるはずの颯太が目を丸くする。
「うん。今、俺が勝手に作った」
「――って、先に教えてよ」颯太の文句に、リビングはドッと笑い声に包まれた。
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