13 / 19

第13話 陽一サイド<財産管理会社に打診>

小林さんから返事があり、今から小林さんと管理会社の担当者が来てくれるそうだ。 「先生、すごいね。あっという間に話が進むかもよ」 急展開に楽しそうな表情の颯太。 「先生、そしたら税理士も呼んで、私と一緒にシミュレーションをやってみないといけませんね」と山川弁護士。 「すみませんねえ。財団だけでも忙しいのに、今回は実家の事までお手数をかけてしまいそうです」と俺。 「あのう、失礼ながら――青山の土地ってすごく高いんじゃないですか? 税金が凄そうですが、どれくらいかかるものなんですか?」と広報の山下さん。 それは全然分からなくて、首をひねった。 「ええとね、多分、あの辺だったら。100坪で10億くらいですかねえ?」と山川弁護士。 「へっ!」と皆の声が出た。 「いや~、俺はその辺を知らないんですよ。むしろ教えて欲しいですよ。 一人10億で売ったとして税金はどれくらいかかるんですか?」 そこが一番謎で怖いとこなんだよ。 「そうですねえ、単純計算だと10億に対して税金が2億5千万くらいですかねえ」と弁護士。 「うへえ~」と悲鳴の声が上がった。 次は顔を見合わせて「もったいなあ~い!」だって。 「それはもっと節税出来る方法はあるんですか?」と秘書。 「まあ、色々ありますが、税務署が見張ってますからねえ。厳しいですよ。相当知恵を使わないとね。 そもそも最初に取得した経緯にもよるんですがね」と弁護士。 「あそこは祖父の代から住んでいるので、父に聞かないと分からないですね。 あ、そうだ。話は変わりますが、父が佐久間総合病院の院長職は解いてくれたんですよ。 その代わり名前だけの顧問になりましたけどね」と俺。 「あ、そうなの? 良かったね。だって時間がないって言ってたもんね」と颯太。 「うん、助かったよ。 それと、病院の業務推進室の室長で加護さんというナースの人がいるんだけど、今度財団に来てもらって一緒に仕事をしようと思っているんですよ。今度皆さんにご紹介しますね。中々のアイデアマンなんですよ」 「へえ~そうなんですね」と上川秘書。 「看護師としても優秀なので、クリニックをまとめてほしいし、保育園も見て欲しいし、財団に具合の悪い人がいたら面倒見て欲しいと思ってるんです。 今は室長なので、それに準じる立場で力を発揮してほしいと思っています」 「先生、良かったね。これでまた人材が増えたね」 颯太が目尻をゆるく下げて微笑んでいた。 それから15分ほどで、 「お待たせしました」と汗を拭き拭き、執事の小林さん達が来てくれた。 「下で一緒になったのでね。お連れしました。こちらは立花家の財産管理会社の金沢良一さんです」 30代の後半くらいかな? 色白で笑顔が柔和だ。 育ちが良さそうな清潔感がある男性だった。 「初めまして、管理会社の不動産営業部の金沢良一と申します。どうぞよろしくお願いします」 こちらも皆を紹介して挨拶をした。 「小林さん、急にすみません。俺もさっき父に承諾してもらったばかりなんですよ」 「ああ、そうなんですね。御実家の一大事業になりそうじゃないですか?」と小林さん。 「そうなんですよ。実はまだ弟や妹にも話していないんです。 父が伝えると思いますが、それでどうでしょうか? 青山の土地400坪を買い取っていただき、かつマンションを建てて欲しいのですが、出来ますか? もし出来るならば、家族で区分所有権を数件買いたいのですが」と俺。 「はい、もちろん可能です。青山に400坪なんて、まだそんな土地があったんですね。正直驚きました。 ご希望はもちろんのこと、まずは土地や権利書を拝見して話し合いが必要ですね。 そして税金対策の為の、いろんなシミュレーションが必要ですね」と金沢さん。 「まず住所を伺ってもいいですか?」 俺は実家の住所を伝えた。彼はすぐネットで検索していた。 「ほほう~、すごいですねえ。もの凄く良い立地じゃないですか。アンティーク通りから少し住宅地の中に入るんですね。ここなら高級デザイナーズマンションが出来ますよ。何階建てがご希望ですか?」 金沢さんがちょっと前のめり気味に、楽しそうにしていた。 「あ、それは分からないです。まだそこまで考えていません。 ざっと希望を言うと、ペントハウスは弟にして、最上階に我が家と妹夫婦。 その下の階には3LDKを4軒並べて欲しいです。もしかしたら、そこは所有して賃貸にする可能性があります。 あとは、1階と2階を一部メゾネットにして庭付きで両親の一軒。そしてそのメゾネットは将来2階への内部階段を封鎖して、独立した賃貸に出来るようにして欲しいんです。 駐車場は自家用に6台分は欲しいです。そのうちSPの車が2台入りますからね。 車寄せは少しでも大きいと助かります。 あとは管理室のそばにSPの待機部屋が必要なので、そこは独立して作って欲しいんです」 「はい、承知しました。では早速土地を拝見したいのですが、今からでも拝見してもよろしいですか? 立地の確認ですから、今日は外からでも拝見出来ればいいですよ」と金沢さん。 「あ、いいですよ。颯太一緒に行こうか? 皆さんも来れるならご一緒にどうぞ」 皆は顔を見合わせていた。

ともだちにシェアしよう!