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第14話 陽一サイド<立地の確認>

 結局、立地の確認には金沢さんと小林さんと山川弁護士の三人が来てくれた。 俺と颯太も一緒だ。 実家に着くと、父もちょうど帰ってきた。 「話が早いなあ」と父が驚いていた。 すぐ金沢さんを紹介すると、 「家の周りを撮影させてください」と言うことで、外観をぐるっと回り、録画していた。 山川さんも小林さんも丁寧に写真に撮っていた。 父は「その間に権利書を出すよ」と家に入った。 母や家政婦の美代さんも家から出て来た。 「一体どうなっているの?」 母が呆然としていた。 「母さん、びっくりしないでね。この土地を売ってマンションを建てて貰うんだよ。俺達も母さんたちも、土地を売ったお金でそのマンションの区分所有権を買うんだよ」 「え、そうなの? それいつ決まったの?」 「えっと、3時間前かな」 「ああ、そうなのね……」母は不安そうな表情を見せた。 「母さんの仮住まいはどこが良いの? やっぱり青山を離れたくない? それとも颯太の生家のそばでもいいの? 希望を聞いて探すよ」と俺。 母は眉を寄せて途方に暮れていた。状況に頭がついていかないようだ。 「ああ、全然分からない。せめて今夜くらいは考えさせてくれない? それと美代さんの部屋はあるの?」と母。 「うん、もちろん大丈夫だよ、なんとかするから」 美代さんがホッとしていた。 「美代さん、びっくりさせてごめんね。でも心配しないでいいからね」 「はい、承知しました。ではお茶のご用意を致しますね」 金沢さんは外観を撮影すると、今度は内部の土地や家を撮影して回った。 玄関横の俺の家を見て、 「あのう、この家は新しいですね。これはどうなさいますか?」と金沢さん。 「最後は壊していいのですが、建設途中なら工事関係者の休憩場所や、設計事務所として使っていいですよ」 説明すると、金沢さんはホッとしたらしい。 やはりマンションを建設するなら、邪魔になるんだなと思った。 「それは助かりますね」 そして撮影は終わり、家に入ってもらった。 父が「急にお願いしてすみませんね。皆さん財団でお忙しいでしょうに」と恐縮していた。 「財産管理会社としてはありがたいお仕事ですね。場所がすごくいいのでやりがいがあります」と金沢さん。 「権利書を用意しました。他に何が必要でしょうか?」 「登記簿のコピーですね。でもそれはこちらで行きますよ。あとは委任状ですね」と金沢さん。 「ああ、委任状は私が用意しますよ」と山川弁護士。 ここで一番の問題を質問した。 「すみませんが、両親や家政婦さんの仮住まいの場所ってなんかありますか?」と俺。 「ああ、大丈夫ですよ。場所はどの範囲ならいいんですか?」 「佐久間総合病院から2キロ範囲が目安ですね。 だから南青山、外苑、青山一丁目、渋谷区、港区にかかる範囲でもいいのですが、買物に行けることと、駅から徒歩圏が助かりますね。 なければ<ちぃバス>のバス停があればいいですよ」 「はい、承知しました。ご用意いたします」と金沢さん。 そして権利書をパラパラと見ていた。 「これは結構手続きが細かくなりますね。山川先生のお手を借りることになりますが、よろしいでしょうか?」 「ああ、いいですよ。それが仕事ですから」と山川弁護士。 「それと建設の方なんですけど、決まったところがあるんですか? 今大手が国内や国外の大型案件で出来ないところが多いようです。 財団もほとんど断られたんですよ。 今の財団の建物は、相良未来さんという、建築プランナー兼一級建築士の方にプランと設計と建築の方もお願いしているんです」と俺。 そしたら急に金沢さんが気弱な表情を見せた。 「ああ、そうですねえ……。それは正直――ちょっと考えていました。ですので、実際に手を付けられるまでは、1年くらいお待ちいただくしかないかなあと思っていたんですよ」と金沢さん。 「そしたら、引き受けてもらえるか分からないのですが、相良さんに打診してもいいでしょうか?」 「あ、いいですよ。建築プランだけでもあれば助かりますからねえ」 「もし建築も出来ますという事ならば、お願いしてもいいんでしょうか?」 「そうですねえ、それはちょっとこちらも取引先があるので、調べますので少々お待ちいただけますか? 後日お返事いたします」 「はい、分かりました。そしたら建築プランは相良さんに出来るかどうか聞いてみますね」 そして皆さんが帰って、俺と颯太は実家で夕飯を食べることになった。 仕事が終わった淳一や楓が急遽実家に来ることになったから、説明しないといけない。 まあ、驚くよね。 そして開口一番、 「どういうことなの?」と淳一。 「そうよ、急じゃない? 別に反対するわけじゃないけどさ」と楓。 「あのなあ、これは俺が決めたことだ。話を良く聞けよ」 父が皆にちゃんと説明をしてくれた。 ありがたいよねえ。俺を出さないんだよ。 父は自分が決めたことにしてくれた。 こういうところがやさしいんだよね。

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