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第40話 陽一サイド<楓の登場>
加護部長が佐久間病院からの応募者に放った厳しめの言葉は、実にナイスタイミングだった。
菜の花の北原院長が、「有能な女性をメインにした方が助かる」と言った意味がよく分かる。
さすがだねえ。あれくらいで丁度いい。
俺はあれが言えなかった。
佐久間組が部屋を出て行くと、待機場所にいる田代さんから連絡が入った。
「あのう、佐久間病院の楓先生が面接にいらしてますけど、どうしますか?」
「はあ?‥‥‥分かりました。すぐ来てもらってください」
何しに来たんだよ。面接なんかいらないのにさ。
そしてニコニコしながら部屋に入って来た。
いや、そこは可愛いんだけどさ。
「楓に面接は要らないよ。嫌と言うほど知ってるんだからさ」
開口一番、俺が言うとみんながぷっと吹き出した!
「だって、悪いじゃない?私だけ面接がなかったらさ、コネみたいじゃん!」
今度はみんなで吹きだした!あははは、俺もたまらん。
「立派なコネに間違いないよ。でも耳鼻科は歓迎だよ。で、勤務時間はどうするの?午前だけでもいいし、フルタイムでもいいよ。逆に子供の予定はないのか聞きたかったんだよ」
「そうなのよ。そろそろ考えないと高齢出産だもんね。できるまではフルタイムにして、支障が出たらそれに合わせて欲しいんだけど、どうでしょうか?」
「うん、いいよ。好きなようにしてください。支障が出たら非常勤を採用するよ」
「はい、では皆さん、どうぞよろしくお願いします」
サッと立って丁寧にお辞儀をして部屋を出て行った。
皆もまだくすくす笑っていた。
「面白い妹さんですなあ~」と小林さん。山川弁護士も笑っていた。
その後は大学病院の臨床検査技師2名と、放射線技師が2名来ていた。
多いな。どうしよう。
面接の印象は普通だけど、転職したい動機がこちらの胸に訴えるものがなかった。
その後はナースだ。
例の住宅費を3万欲しいと言った、菜の花病院のナースだった。
3万は出せないと伝え、住宅費補助もまだ未定だと言ったのに面接にやって来た。
加護さんがちらっと俺の目を見た。
「なに?」と目で合図をしたが、ううんと首を振った。
「加納小枝子です。どうぞよろしくお願いします」
若いなあ。年齢は24歳か。
見た目は普通の大人しい感じだ。
「菜の花病院に勤務されてたんですよね?」
「はい、そうです」
「あそこは素晴らしい病院じゃないですか?勿体無くないですか?」
えへへへと笑っていた。
「そうなんですよ。勿体ないんです。でもうちから菜の花まで通勤が結構不便なんですよ。
おまけに半蔵門線ってすごく混むんですよ。電車がぎゅー詰めです。だからそれに疲れました」
「あちらは寮があるんじゃないですか?」
「あれは医師や技師、助産士だけでナースは対象外です。それで住宅手当が3万出るんです」
「今は近くに住んでいるんですか?」
「近いというほどではないのですが、花が好きなので、花を見たら癒されるかなと思ったんです」
「ではうちの寮に入りますか?うちの寮も無料ですよ」
「え、いいんですか?」
「はい、いいですよ。早い者勝ちです。ただし、うちのナースはいろんなことをしないといけないですよ。ある時は保母になったり、爪を磨いたり、美容を習ったり、弱者の世話もしますよ。人がいない部署には手伝いに行くこともありますけど、いいですか?」
加護さんを習った。
「はい。良いです。時には違うこともしたいんです。寮に入れるなら頑張るので、よろしくお願いします」
「そうですが、ところで、菜の花の院長はこちらを応募することはご存じなんですか?」
「はい、伝えてきました。良いそうです」
加護さんの顔を見た。
「まあ、あちらがいいとおっしゃるなら、良いんじゃないでしょうかね?院長」
「うん、そうだね。はい、では面接を終わります。後日結果を知らせますね」
その後のナースは別々の病院から来た人が3人。まとめて面接をした。
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